2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模ネットワーク型データからの体系的な信頼度付き情報取得システムの開発
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21300031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白山 晋 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (10322067)
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Keywords | ネットワーク / 大規模データ / 情報信頼度 / コミュニティ構造 / 集合知 / 可視化 / 視線計測 / データマイニング |
Research Abstract |
広域分散化するデータや情報をネットワーク型データとして扱い,(I)部分情報からのネットワーク全体推定法,(II)ネットワーク構造を利用した信頼度算出法,(III)視認性の高い情報提示法の三つの手法からなる信頼度付き情報取得システムの開発を試みている.当該年度において,(1)現象(機能)からの体系的な構造分析システムの開発,(2)TrustRankの拡張による信頼度算出プログラムの開発,(3)人間の認知特性を考慮したネットワーク可視化,および表示法の開発を行った.(1)に関しては,現象の特徴とネットワークの統計的指標との関係を分析するためのニューラルネットワークを用いた新たな手法を開発し,得られた関係性からネットワークの生成機構が推定できることを示した.また,最適化の考えを用いて,機能と構造の関係性から,所与の機能を実現化するためのネットワーク生成法を構築した.さらに,前処理付きリンク予測手法を開発し;部分情報から効果的に欠損情報を補えることを示した.これらによりネットワーク型のデータ,および情報の背後にあるネットワーク構造をより深く分析でき,ネットワークの全体像を従来手法よりも効率的,かつ効果的に明らかにできることを示唆した.(2)に関しては,新たなデータクラスタリングの方法を構築し,TrustRankの欠点である信頼度の局在化の問題の解決を試みた.従来よりも効果的に信頼度の算出ができるものと考えられる.また,(3)に関して,人手によるグラフレイアウト変更操作時の視線変化を計測し,注目点とネットワークの特徴量の関係を明らかにすることで,視認性の高いグラフレイアウトに必要とされる要件を明らかにした.このような方法で人間の認知特性を考慮したネットワーク可視化を検討した研究はなく,可視化研究に対する貢献も大きいと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
要素技術の開発に関しては,実績概要に示した通り,当初の計画以上に進展していると考えている.一方,全体システムの構築はやや遅れている.研究を深化させていく中で,当初計画では考えていなかった要素技術の開発が必要になったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている全体システムの構築を急ぐ必要がある.しかし一方で,開発した要素技術の中には単独で利用できるものも多い.全体のバランスを考慮しながら,役に立つ要素技術を死蔵させることのないように,完成度を高め,普及させるという方策も視野に入れている.
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