2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子ホログラフィによる実時間3次元撮像・3次元ディスプレイの開発
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21300044
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
佐藤 邦弘 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40167432)
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Keywords | 電子ホログラフィ / 3次元動画像 / 実時間撮像 / 実時間表示 / 精密形状計測 / 超高速計測 / レンズレス / 大深度 |
Research Abstract |
本年度研究の第1の目的は、電子ホログラフィによる動く3次元像の実時間撮像と実時間表示を実現することである。まず、パルスレーザとワンショットホログラフィを用いた3次元動画像の記録再生装置を提案した。提案手法の有効性を検証するため、購入したパルスレーザ光源とカメラリンクCCD白黒カメラを用いて3次元動画像の記録装置を開発した。さらに本記録装置を用いた光学実験により、パルスレーザを用いた室内照明下における3次元動画像の記録に成功した。また、ワンショットホログラフィによる実時間における物体光抽出が有効であることを示した。次に、3次元動画像を実時間記録再生装置の開発を行った。実時間記録したホログラムデータをホログラフィック・ディスプレイ装置に転送して3次元像の撮像と再生を行い、室内照明下における実時間記録再生に成功した。 本年度研究の第2の目的は、動く被写体の3次元形状や変形、変位を超高速精密計測可能な電子ホログラフィ技術を開発することである。まず、レンズを使わずに記録した一枚のオフアクシスホログラムから空間周波数フィルタリングと空間ヘテロダイン変調を行って複素振幅インラインホログラムを取り出す方法、およびヘルムホルツ方程式の解析解を用いて正確な画像を再生する方法を開発し、光学実験を行って大深度物体の無歪3次元像のワンショット記録と画像再生を実証した。次に、物体表面への干渉縞投影と合焦点画像の生成、および再生画像の空間周波数フィルタリングを行ってスペックルの影響を大幅に低減する方法を提案し、高精度な超高速形状計測法を開発した。実物体の形状計測を行い、距離計測の精度として0.01%以下の値を得た。また、エッジや不連続面を持つ大深度物体の表面形状計測にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの3年間で、研究計画に従って(1)電子ホログラフィによる動く被写体の3次元像の実時間撮像、(2)電子ホログラフィによる動く被写体の実時間3次元撮像・表示システムを開発、(3)運動物体の撮像と表示の実験およびシステムの評価、(4)3次元像実時間撮像の工業計測への応用について研究を行い、それぞれについて新しい研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元高速撮像に適した産業応用として、高速運動物体の3次元形状や変形、変位の非接触精密測定が挙げられる。高速記録した大容量波面情報から高分解能3次元画像の高速再生が可能になる。結像レンズを使用せずに正確な光波面情報を記録するので、生産工程にある製品や高速運転中の部品の表面形状を瞬時記録できるコンパクトで構造の簡単な精密計測装置の開発が可能になると期待される。高速運動物体として高速回転する部品を取り上げて物体光波面の高速記録を行い、数値計算による像再生を行って再生像の分解能や形状測定の精度を評価する。また、実験結果を基にして工業計測への応用の可能性について具体的に検討する。
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