Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 明人 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80196295)
望山 洋 筑波大学, システム情報工学研究科, 准教授 (40303333)
田中 由浩 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (90432286)
石橋 良太 名古屋工業大学, 工学研究科, 特任研究員 (20535835)
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Research Abstract |
触覚の本質は能動触(アクティブタッチ)である.触るという動作と触知覚現象における知覚表象は不可分の関係で本質的に双方向である.人間のタッチの実現には,出力型の装置(人工指関節)に加え,入力型の装置(人工感覚器)が不可欠である.これまで様々な人工指が開発されてきたが,タスクの実現に主眼が置かれており,必ずしも人間のタッチを表していない.人間のタッチは,感覚と運動が強く結びつき,速いタッチ,柔らかいタッチなど,バリエーションに富む.人間のタッチの実現は,機械と人間との親和性を高め,自然な義手やアシスト装置の開発への応用,人間の触覚情報処理メカニズムの解明や,製品設計の官能評価に代わるシステムとして有効である.本研究では,人間の触覚メカニズムを考慮した力触覚フィードバックを有する柔軟な人工指を開発し,人間のタッチを実現することを目的とする.ピアノ演奏を具体的タスクとし,豊かな音色を生み出すレベルの指使いを実現する. 本年度は,人間の指先特性についての検討,人工指先のプロトタイプの製作および人工指関節への利用に向けた弾性体の飛び移り座屈を用いた閉ループ柔軟カタパルトの基礎検討を行った.速順応型に属しヒトの機械受容器の中で最も敏感なパチニ小体は,皮膚の深部,皮下組織にあることが知られていたが,指先におけるその分布について,ヒト胎児の指断面標本を顕微鏡下で観察した結果,皮下組織を分ける繊維周辺に複数個まとまって分布している可能性を明らかにした.これを基に,人工指断面を作成し光弾性実験により指内部の応力分布を観察した結果,皮膚表面の変形を効率よく内部に伝搬させ,受感している可能性を明らかにした.また,従来,ヒト指はウェーターベットモデルや均一な柔軟物で表現されていたが,ヒト指の内部構造に基づき試作した人工指先が,ヒト指を触った際と似た触感覚を有することを確認した.
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