2010 Fiscal Year Annual Research Report
複素ニューラルネットワークによる柔軟なミリ波セキュリティ・イメージングの基礎研究
Project/Area Number |
21300089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70199115)
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Keywords | ミリ波 / セキュリティ / イメージング / センサ / ニューラルネットワーク / 画像処理 / アンテナ / アレイ・アンテナ |
Research Abstract |
本研究の目的は、新幹線等駅改札でのテロ対策の初期スクリーニング(液体爆発物原料の可視化)を歩行状態のまま実現することを想定し、複素ニューラルネットワークに基づくセキュリティ用の実時間ミリ波・イメージング・システムを実現するための基礎を築くことである。特に、複素ニューラルネットワークにおける適切な情報統合の方法を開発するとともに、実用化を視野に入れた空間並列化フロントエンドのプロトタイプを作製し、実際に歩行する人のイメージング実験でデータを取得して、複素ニューロ・イメージング・システムとしての基礎評価を行うことを目標としている。 これまでに、まず次の(1)(2)の研究を並行して進めてきた。 (1)位相・振幅・周波数の情報統合のアーキテクチャがどうあるべきか理論的な検討を行うとともに、ソフトウエアとしてそれを実現する。 (2)セキュリティシステムのミリ波フロントエンドのプロトタイプを試作する。特に、実時間情報取得のため、アンテナのアレイ化と空間並列化を行う。 そのなかで、今年度は特に(2)を進めた。その際、アレイアンテナの構築のためにアンテナ・エレメントの最適化を進めていたところ、「Bulk LTSA(Bulk linearly-tapered slot antenna)」と名づけることにした新たなアンテナを発明し、その重要性から特性解析と物理解釈に重点を置いて研究を進めてきた。またこのため、システム構築がやや先に伸びることとなり、またシステム構築用の高周波アンプが動作不良に陥り更新の納期が掛かることとなったため、繰越を適用することとして研究を進めた。 このアンテナは、本研究グループが提唱する包絡位相検波方式(EPD)直接受信フロントエンドでの利用を想定して開発・提案したものである。直後に直接にミリ波検波回路と結合させて使用することにより、従来型のLTSAに比べて高い感度を持つことを実験と数値計算により確認した。また直後に検波せずにミリ波増幅器等のミリ波をそのまま扱う回路と結合させる場合には良好なインピーダンスマッチングを実現することができることを示した。これらの優れた特性のため、ミリ波イメージングの回路システム構成の自由度が高まる。この発明のため、本年度はその特性解析に集中して研究を進めてきた。次年度には、それに伴うシステム構成の最適化を再度行うことも含めて研究を進める。
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Research Products
(48 results)