2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300093
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
郡司 幸夫 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40192570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 太一 神戸大学, 理学研究科, 助教 (20518659)
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Keywords | 真性粘菌 / セルオートマトン / 群れ行動 / スケールフリー相関 |
Research Abstract |
第一に、部分の和としての性格と統一的全体性としての性格の二重視点を、真性粘菌に見出し、その餌探索パターン解析の実験を行い、メッシュ状パターンからカリフラワー状のトリー構造へと発展する特徴を得た。また複数の餌を与えたとき、その適応的ネットワークは、探索と最適化のバランスをとることが示された。これらの挙動を説明する、非同期でアップデートする二重視点格子モデルが提案された。これは、イマジナリーな点がアップデートを誘導し記憶がアップデートを阻害する格子モデルで、予期と記憶によって原形質伝播が制御される。このモデルに餌を与えるとき、真性粘菌の形成する全てのパターンがシミュレートでき、探索と最適化のバランスについても真性粘菌をよく摸しているという結果が得られた。第二に、部分の和と全体性の二重性を、具なる階層としてセルオートマトンに実装した。セルオートマトンのパターンはその複雑さからオーダーを示すクラス1、2、カオスを示すクラス3、両者の特徴を兼ね備えたクラス4に分類され、クラス4は複雑系=臨界現象なる標語として用いられてきた。ここでは局所的ルールの代数的構造からラフ集合誘導束を得ることで、クラスが推定できることを示し、これを利用して、クラス1,2を示すラフ集合誘導束に近づけるべく、クラス3のセルオートマトンに中間層を導入すると、クラス4の挙動が得られることを示した。第三に群れのモデルとして予期と記憶の二重性を実装し、内的ゆらぎを群れ形成に積極的に利用する群れのモデルを構築し、これらがスケールフリー相関を示す結果を得た。また西表島に棲息するミナミコメツキガニの巨大な群れを観察・ビデオ撮影し、その運動像の解析によって、内的ゆらぎが群れ形成に積極的役割を果たしていること、群れがスケールフリーな相関領域を有していることを示した。
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Research Products
(6 results)