2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸配列からタンパク質溶解度を計算する高精度計算システムの開発
Project/Area Number |
21300110
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒田 裕 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (10312240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 博幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70192656)
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Keywords | 熱力学 / 蛋白質凝集 / 会合自由エネルギー / 溶解度測定 / 回帰解析 |
Research Abstract |
ペプチドやタンパク質の溶解度は、その構成アミノ酸の親水性・疎水性で決まるというのが定説であるが、本来このモデルは、分子の溶解度を計算するための理論ではない。本計画は、ペプチド・タンパク質の溶解度をアミノ酸配列と立体構造から計算する計算システムの開発を目的とする。我々のアプローチでは、まず全20種類のアミノ酸の「会合自由エネルギー」(ΔG_<Aggr>)を実験的に測定する。次に、この会合自由エネルギーの加算性を仮定し、任意のアミノ酸配列からなるペプチド・タンパク質の溶解度を計算するシステムを構築する。アミノ酸(X)の会合自由エネルギーは、「基準ペプチド」にアミノ酸(X)を特定の個数付加した際の溶解度変化から決定する。この会合自由エネルギーの測定法は、研究代表者が先行研究で、凝集を熱力学的な平衡系として扱えることを示し、Oosawa & Kasaiの分子会合モデルを凝集の解析に応用できることを明らかにしたことによって可能となった。 平成21年度では、基準ペプチドにArg、IleとAspを特定の個数付加したペプチドの大量発現系を構築し、ペプチドの発現と精製条件を検討した。その結果、ArgとAspを付加したペプチドを大量にHPLC精製し、両アミノ酸の溶解度を測定することに成功した。一方、Ileを付加したペプチドは溶解性が低く、精製が困難であることが判明した。平成22年度では、Ileなど疎水性アミノ酸を付加したペプチドの大量精製法も確立し、溶解度を測定する。さらに、バイオインフォマティクス的手法も駆使して、溶解度計算システムを完成させる。
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