2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二分子膜でのドラッグの分配と会合のMDとNMRによる研究
Project/Area Number |
21300111
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 伸幸 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (20281107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 千尋 京都大学, 化学研究所, 助教 (40293948)
|
Keywords | 脂質 / 二重膜 / 自由エネルギー / 分子動力学シミュレーション / エネルギー表示 / NOESY / 分布関数 / 分配係数 |
Research Abstract |
膜貫通タンパク質の脂質膜結合の自由エネルギー解析を行った。膜貫通タンパク質として、glycophorin Aの膜貫通ドメインを検討した。23残基からなり、ヘリックスを形成することが知られている。膜貫通型の配置(垂直配置)と、タンパク質が膜に埋め込まれた配置(水平配置)の2つを比較検討した。水平配置では、水との直接接触はほとんどない。タンパク質の溶媒和自由エネルギーの計算には、エネルギー表示法を用いた。ここでの溶媒和とは、タンパク質の真空から膜内の上記2つの配置への移行である。溶媒和自由エネルギー計算において、溶媒種と扱われるのはDMPCと水、溶質はタンパク質そのものである。溶媒和自由エネルギーは、垂直配置で-133kcal/mol、水平配置で-113kcal/molであった。実験に符合して、垂直配置がより安定であることが分かる。自由エネルギー値を、DMPCからの寄与と水からの寄与に分割した。垂直配置ではDMPCと水からの寄与は、それぞれ、-76と-57kcal//mol、水平配置では、それぞれ、-85と-28kcal//molであった。脂質からの寄与は、水平配置でより安定である。疎水効果は、タンパク質が膜に埋め込まれた時の方が、強く効いている。水平配置でも、水からの寄与は無視できない。膜内部は、疎水環境であり、タンパク質に接触する水分子は事実上存在しない。10A以上離れた水分子との静電相互作用によるものである。分子間の水素結合は、垂直配置の方が、水平配置より圧倒的に多い。トータルで垂直配置が有利となっているのは、水の効果である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] Advances in Quantum Chemistry2010
Author(s)
H.Takahashi, N.Matubayasi, M.Nakano
Total Pages
68
Publisher
Development of a Quantum Chemical Method Combined with a Theory of Solutions--Free-Energy Calculation for Chemical Reactions by Condensed Phase Simulations