2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300118
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崎村 建司 Niigata University, 脳研究所, 教授 (40162325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏目 里恵 新潟大学, 脳研究所, 技術職員 (60467082)
|
Keywords | ノックアウトマウス / 分子・細胞神経科学 / 神経科学 / グルタミン酸受容体 / シナプス伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、グルタミン酸受容体の発現と安定性、さらにシナプスへの移行と除去が細胞の種類や脳部位により異なった様式で調節され、このことが単純な入力を多様な出力に変換し、複雑な神経機能発現の基礎課程となるという作業仮説を証明することである。このために、グルタミン酸受容体サブユニットのfloxedマウスと部位選択的にCreリコンビネースを発現するマウスを交配して作出したコンディショナルノックアウトマウスを用いて、脳の様々な部位での各グルタミン酸受容体サブユニットの動態、受容体活性、個体表現型を多角的に解析する。また、受容体の動態変化が惹起する個体の機能変化を神経疾患と関連させて解析する。本年度の成果として、NMDA型受容体GluN2Bサブユニットを海馬CA3興奮性細胞で選択的にノックアウトするマウスを作出して解析をおこなった。その結果、GluN2BはNMDA型受容体の活性化に必須であり、かつシナプスにおけるNMDA受容体自身の安定化とシナプス後肥厚(PSD)の分子複合体の維持に関与していることが示唆された。さらにNMDA受容体のシグナルがアクチンを介してPSD蛋白質の複合体の集積と安定性に関与する知見を得た。これとは別に、AMPA型受容体の活性調節の機序を知るために、この受容体各サブユニットの定量をおこなった。その結果、海馬ではGluA1とGluA2が豊富に発現しているのに対して、大脳皮質ではGluA1に代わりGluA3が高い発現をしていた。一方、小脳ではGluA1-4おのおのの量がほぼ同じであった。さらにTARPγ-8欠損マウスが示すAD/HD様多動の原因領域は、大脳皮質である可能性が高いことが、コンディショナルノックアウトの解析から明らかになった。
|
Research Products
(20 results)