2009 Fiscal Year Annual Research Report
大規模空間の認知地図形成と移動の制御に係わる頭頂葉機能の解明
Project/Area Number |
21300126
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泰羅 雅登 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50179397)
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Keywords | ニホンザル / 頭頂葉内側面 / 脳梁膨大後部 / 場所ニューロン / 場所選択性 / 文脈依存 |
Research Abstract |
頭頂葉内側領域(7m野、脳梁膨大後部、帯状回後部)ニューロンの、空間内の位置に対する選択性を調べるために、ニホンサルにナビゲーション課題をトレーニングして、バーチャルリアリティビルディング内の場所に対するニューロンの選択性を調べた。記録したニューロンの約三分の一はビルディング内のある特定の場所で活動する、場所選択性ニューロンであった。一つ一つの場所選択性ニューロンの持つ好みの場所の広さは狭いが、一カ所だけではなく、複数の場所に選択性を示すニューロンも存在していた。また、すべてのニューロンの好みの場所を統合すると、移動空間内のすべての場所が表現されていることがわかった。一方、場所以外にも方向や、運動に対して選択性を示すニューロンも存在したが、場所に対する選択性が他の要素に対する選択性に比べて、最も強かった。さらに、のなかには、どこからスタートするかによって、好みの場所での反応の強さが変化するニューロンも含まれていた。さらに、場所選択性ニューロンの、1)好みの場所を含む、たどるルート全体のアニメーション、2)好みの場所近辺のアニメーション、3)好みの場所の静止画像に対する反応を調べたところ、場所選択性ニューロンのうち約半数のニューロンは好みの場所近辺のアニメーションでは反応が減少するか止まり、70%のニューロンは静止画像に対して反応しないか、反応が減少した。この結果は、場所選択性ニューロンの反応は、単に特定の場所の風景に対する反応ではなく、出発点からその場所まで、あるいはその場所から目的地までの文脈情報を含んだ反応であるといえる。
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