2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体における神経回路の入力応答性と神経伝達調節因子による調節
Project/Area Number |
21300127
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
井本 敬二 生理学研究所, 生体情報研究系, 教授 (00176512)
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Keywords | 神経細胞 / シナプス / 入力タイミング / 神経調節因子 / ダイナミッククランプ / 欠伸発作 / 深部脳刺激 |
Research Abstract |
われわれ哺乳類の覚醒状態は、さまざまな神経調節因子により調節されている事が以前より知られている。しかしその基盤となる神経回路メカニズムは十分には解明されていない。われわれは、神経間結合が定義された微小神経回路を用いて、神経調節因子が入力の統合のタイミング変化させる事を見いだした。脳スライスを用いた実験を行い、視床から大脳皮質第4層神経細胞への投射で、2つの同期した入力よりも数ミリ秒ずれた入力が大きな応答を示しその応答がフィードフォワード抑制に関係する現象であることを見いだした。フィードフォワード抑制回路をダイナミッククランプで置換し、他の抑制性回路を薬理学的に遮断した状態で、タイミングを詳細に検討したところ、同時入力ではフィードフォワード抑制回路がより効率的に活性化されるために、タイミングがずれる場合よりも応答が小さくなる事が示された。更に覚醒を促すノルエピネフリンでは同期入力を選択し、覚醒を押さえるアデノシンではタイミング域が広がった。これらの実験データより、神経調節因子はタイミングのスイッチとして作用することが明らかとなった。 カルシウムチャネルに変異を持つ欠神発作モデルマウスの欠神発作の発生機序を更に検討した。ヒトのパーキンソン病患者に治療的目的で用いられる深部脳刺激をまねて、モデルマウスの視床下核で電極による高頻度刺激を行うと、頻度依存的に欠神発作を抑制することが可能であった。外部からの刺激によっても欠神発作の脳波周波数に変化は見られなかった。今後、大脳基底核より視床への情報伝達のメカニズムの解析が必要である。
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Research Products
(16 results)