2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会知性と意思決定の脳機能の数理:モデル提案と実験による検証
Project/Area Number |
21300129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中原 裕之 独立行政法人理化学研究所, 理論統合脳科学研究チーム, チームリーダー (10312282)
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Keywords | 神経科学 / 数理工学 / 神経経済学 / 認知科学 / 機械学習 |
Research Abstract |
人間知性の根源である社会的知性を実現する脳機能の解明は、脳科学の重要な研究目標である。この目標に向け、本研究は、他者を勘案する社会知性と意思決定の脳メカニズムの数理モデル構築と、その仮説の実験検証を目的とする。そのために、「理論」と「実験」-「脳の一般化価値意思決定の数理理論」と「fMRIでの検証実験」-の融合研究を推進する。 「目的I:一般化価値意思決定の数理理論と、それに基づく脳数理モデル構築と仮説の提唱」では、「脳内時間を反映する強化学習モデル」の研究を進め、学術誌(Neural Computation, 2010)に発表することができた。この研究の骨子は、実験の観測が使う時間(通常時間)と区別して、脳内の時間過程(内部時間)に基づき、脳の内部時間を直接モデル化の対象にする新しい強化学習理論の提案である。さらに、観測者・実行者の各々の立場により「時間割引課題などで異なる合理性の存在」の提示、セロトニン神経活動が脳内の価値評価の時間過程を直接修飾するという新仮説の提案などの結果にもつながった。 「目的II:非社会的意思決定(NVDM)と社会的意思決定(SVDM)を共通に調べられる実験課題による検証」では、「他者の価値意思決定のシミュレーション」のfMRIを用いた実験研究を、model-based analysisと呼ばれる計算論的方法論に基づいたデータ解析を組むあわせることで推進した。「他者の報酬予測」を予測する脳機能は、社会的脳機能の基礎である。本研究により、自らの脳内で他者の報酬予測をシミュレーションすることで、それに基づく「他者の報酬予測誤差信号」と「他者の行動予測誤差信号」の二つを組合わせて、他者の報酬予測の学習が実現されることが示唆された。現在、学術誌発表に向けて論文執筆を進めているところである。
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Research Products
(13 results)