2011 Fiscal Year Annual Research Report
Runxファミリー転写因子の神経発生における機能の包括的解析
Project/Area Number |
21300130
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
志賀 隆 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50178860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
先崎 浩次 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30333280)
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Keywords | 転写因子 / 遺伝子改変マウス / 細胞分化 / 脊髄神経節 / 舌下神経核 / 軸索投射 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
転写因子Runx1とRunx3の神経発生過程での細胞増殖、ニューロンへの分化、および軸索投射路の形成における機能解析を行ない、以下のことを明らかにした。1.Runx1は舌下神経核では腹尾側部に限局して発現する一方、舌下神経核尾側部のニューロンは舌前部の舌筋に投射することが示されている。そこでneurofilament M、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)と小胞アセチルコリン輸送体(VAChT)を用い、舌体前部、舌体後部、舌根部への軸索投射と終末(シナプス)形成を調べた。その結果、Runx1陽性ニューロンの軸索は舌体前部に多く投射し、Runx1遺伝子欠損マウス(Runx1-/-)では軸索と終末が有意に減少していた。Runx1-/-の舌下神経核でニューロン数に顕著な減少が見られなかったことから、軸索と終末の減少は細胞死によるものではなく、Runx1が舌筋への軸索投射や終末形成に関与する可能性が示唆された。現在、子宮内electropolation法によって、Runx1遺伝子の過剰発現による軸索投射の影響を解析中である。2.胎生早期の脊髄神経節ではRunx1はTrkA陽性のニューロンに発現し、その後の皮膚感覚性ニューロンの分化を調節し、Runx3はTrkB/TrkC陽性のニューロンに発現し、固有感覚性ニューロンの分化を調節するが、少数ながらRunx1とRunx3を共発現するニューロンが存在する。それらのニューロンの性質について種々のマーカー分子を用いて多重免疫染色を行ったところ、 Runx1/Runx3共発現ニューロンは成体では機械受容性ニューロンに発現することが明らかになり、Runx1とRunx3がこのニューロンの成熟や維持に関与することが示唆された。3.胎生12.5日のRunx3-/-と野性型(Runx3+/+)マウスのDRG、および胎生13.5日のRunx1-/-とRunx1+/+マウスのDRGから抽出したmRNAを用いたDNAマイクロアレイ解析の結果、Runx3-/-DRGにおいてTrkCなどの減少や、cadherin1やannexinA8などの増加、またRunx1-/-でsynaptotagmin Xなどの増加やmu 1 opipoid receptorなどの減少などの軸索ガイダンスに関与すると考えられる複数の遺伝子発現量の変化が明らかになった。
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Research Products
(4 results)