2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規モデルマウス及び剖検脳をもちいたβシヌクレイン神経変性作用の解明
Project/Area Number |
21300135
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
橋本 款 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (50189502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 孝一 弘前大学, 医学部, 教授 (50240768)
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Keywords | シヌクレイン / パーキンソン病 / レビー小体型認知症 / 神経変性疾患 / 蛋白凝集 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
我々は、パーキンソン病などの病態において、β-synがα-synの凝集を抑制し、神経保護的に作用する内因性分子ではないかという仮説を提唱してきた。22年度において、我々は、P123Hβ-synトランスジェニックマウス(Tg)マウスの解析を通して、新しいシヌクレイノパチーモデルとして確立、さらにα-synTgマウスと変異型β-synP123H TgマウスのダブルTgマウスを解析し、P123Hβ-synの剖検脳に関する論文で報告されたように(Ohtake et al Neurology 2004)、変異型β-synがどのような機序でレビー小体形成などα-synによる神経病理を誘導するのかという問いにアプローチし、これらの成果をNature Communications(Fujita et al 2010)に発表した。 今年度(23年度)は、i)P123Hβ-synTgマウスをレビー小体型認知症のモデルとして非ステロイド性免疫抑制剤の一つであるイブプロフェンの投与効果を検討した。その結果、イブプロフェンの投与群では、非投与群に比べて、蛋白凝集などの神経病理変化において著名な改善効果が見られたが、Tgにおいて低下した空間認知力に関しては改善効果を観察できなかったので更なる検討をおこなっている。これらの結果はNeuroscience letters(Sekiyama et al 2012)に発表した。ii)我々はまたシヌクレレイン(α、変異型P123Hβsyn)Tgマウスの軸索病変を組織学的に解析、比較検討した。その結果、特に大脳基底核のGABA系神経細胞の軸索腫脹のメカニズムに関して、興味深い結果を得たので論文作成中である。iii)我々はさらに多くの弧発性のPDやDLBにおいてβ-synがどのようにして病態に関与するかという重要な課題に対して、これらの剖検脳の解析を通して検討している。このように新規Tgマウスの樹立、解析、そして、剖検脳の解析を含む包括的なプロジェクトを遂行することにより、シヌクレイノパチー病態におけるβ-synの役割に関する理解を一層深めている。
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