2009 Fiscal Year Annual Research Report
Necdinを中核とする蛋白質ネットワークによるニューロンの生存維持機構
Project/Area Number |
21300138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 和明 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (30094452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大雲 剛志 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (50432505)
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Keywords | Necdin / 蛋白質ネットワーク / Sirtl / FoxOl / アセチル化 / SMC5 / 6複合体 / NSE3 / 哺乳類ニューロン |
Research Abstract |
哺乳類に特異的な蛋白質であるNecdinの蛋白質問相互作用や遺伝子発現制御に関する情報に基づいて、ニューロンにおけるNecdinを中核とする蛋白質ネットワークの機能解析を行った。平成21年度はNecdinを中核とする蛋白質ネットワークとして、エネルギー代謝やDNA損傷応答に関与することが推定されている蛋白質脱アセチル化酵素Sirtl-基質蛋白質系とSMC5/6複合体系に重点を置いて検討した。NecdinはニューロンにおけるSirtlの生理的活性調節因子として、Sirtlによる蛋白質の脱アセチル化を促進し、ニューロンの分化と生存を促進している可能性が高い。そこで、エネルギー代謝やDNA損傷応答に関与するsirtl基質として知られているFoxOlのアセチル化によるニューロンでの機能調節を中心に検討した。免疫組織化学で調べたところ、視床下部弓状核ではNecdinとSirtlおよびFoxlの三者が共存していた。また、これらの三者複合体が形成されることを生化学的に確認した。Necdin遺伝子欠損マウスではアセチル化FoxOlのレベルが増加し、FoxOlの下流にある遺伝子群の発現増加が認められた。これらの知見は、視床下部におけるNecdin-Sirtl-FoxOl系が神経生理機能の調節に関与することを示唆する。次に、NecdinがDNA損傷応答に関与するSMC5/6複合体の構成要素となっている可能性を調べたところ、NecdinはSMC5/6の要素であるNSE4と直接結合するため、哺乳類NSE3として働くことがわかった。また、NecdinはNSE4とNSE1の両者と安定的な三者複合体を形成した。したがって、Necdinは分裂終了ニューロンにおけるSMC5/6複合体の構成要素の一つとして種々の蛋白質と結合し、DNA損傷応答に連繋して細胞生存を調節することが示唆される。これらの知見は、NecdinがSirtlやSMC5/6と超分子複合体を形成し、哺乳類ニューロンの分化状態安定化と生存維持に関与していることを示唆する重要なものである。
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