2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン樹状突起の維持を司る分子基盤と作動原理の遺伝学的研究
Project/Area Number |
21300143
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
榎本 和生 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経細胞生物学部門, 研究部長 (80300953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 桂一郎 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経細胞生物学部門, 研究員 (20534572)
金森 麗 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経細胞生物学部門, 研究員 (50534575)
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Keywords | ショウジョウバエ / 感覚ニューロン / 樹状突起 / 細胞外マトリックス / Hippoキナーゼ / NDRキナーゼ / リモデリング / 受容領域 |
Research Abstract |
ニューロンは、軸索と樹状突起という機能・構造的に異なる2つの神経突起を介して情報の受け渡しを行なっている。神経突起を介したニューロン間の配線は、発生・成長の過程で構築され、知覚や思考の構造基盤となる。従って、一度作り上げられると、大部分の神経突起構造は変化しない。このことから、作り上げた樹状突起構造を積極的に維持するメカニズムが存在し、その機能破綻による樹状突起の変性や退縮が、精神疾患発症の一因である可能性が指摘されている。これまでに申請者は、ショウジョウバエ脳神経系をモデルとする遺伝学的解析により、Hippo-NDRキナーゼシグナル伝達系が樹状突起の形成と維持の制御を担っていることを世界に先駆けて明らかにしてきた。本年度は、感覚ニューロンにおけるHippo-NDRの作動原理を明らかにする為に、生化学的手法およびライブイメージング手法を駆使して「いつ」「どこで」それぞれのキナーゼが相互作用するのかを解析した。その結果、形成期から維持期に移行するタイミングにおいて、HippoキナーゼとNDRキナーゼとの相互作用が強まることが分かった。さらに、神経回路の維持を司る分子ネットワークを全ゲノムサイズで理解することを目指し、RNAiノックダウン法を用いてショウジョウバエ・ゲノム上にコードされる全1万3千遺伝子の神経機能を簡便に評価出来る解析システムを確立した。これまでに約2,000遺伝子の表現型解析を終了し、「形成」「維持」「再編」をそれぞれ特異的に制御する遺伝子ネットワークのコア因子群を同定した。
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Research Products
(4 results)