2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300144
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
齊藤 実 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 参事研究員 (50261839)
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Keywords | 老化 / 脳・神経 / 行動学 / 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
これまでの研究から加齢性記憶障害の発現と相関した増加を示すショウジョウバエピルビン酸カルボキシラーゼ(dPC)を見出し、この遺伝子の抑制変異体では、加齢性記憶障害が顕著に抑制されることを見出している。dPCは哺乳類脳ではグリアに発現している。本研究では先ず遺伝学的手法によりグリアでの機能が示唆されたdPCが実際グリア細胞で発現し、加齢性記憶障害の制御に関わっているか?免役組織学的手法によっても明らかにした。さらにdPCの活性がDC0-PKAにより上昇することも見出した。意外なことに野生型でみられたdPCの発現上昇はDC0/+でも同様にみられたが、全ての日齢に於いてDC0/+のdPC活性は野生型より低く、そのため加齢性記憶障害が顕著となる日齢に於いてもDC0/+では若い野生型と同程度にしかdPC活性が上昇しないことが明らかとなった。これらの結果はdPCの発現を上昇させる老化シグナル経路にはDC0-PKAは含まれないことを示唆している。 一方、老化の主たる原因因子として酸化ストレスが想定され、加齢性記憶障害においても酸化ストレスが大きな役割を果たすことが想定されてきた。そこで酸化ストレスと加齢性記憶障害との関わりを薬理学的・遺伝学的手法により解析した。確かに老化に伴い酸化ストレスの発生原因となる活性酸素種(ROS)の発現が上昇していたが、意外なことにROSを強制的に摂取させても抗ROS因子の発現が急激に上昇し記憶障害は見られなかった。また加齢性記憶障害の発現時期にROSを摂取させてもやはり抗ROS因子の発現上昇がみられ加齢性記憶障害の増悪化は見られなかった。しかし抗酸化ストレス因子の発現を遺伝学的に低下させるとROS摂取により記憶障害がおこり、加齢性記憶障害も早期から見られた。
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