2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シグナル伝達 / 網膜 / 電気シナプス / 抑制作シナプス / GABA |
Research Abstract |
網膜における視覚情報処理の特徴は、大量の光情報を複数の神経回路網(輝度・色・動きなどを検出するフィルター群)で並列的に処理し、その結果をそれぞれ対応する複数の視覚中枢にスパイク列に変換して送ることである。網膜では各種の視覚情報処理に適した神経回路網が構築され、そこでのシナプス伝達特性も最適化されていると考えられる。網膜標本にパッチクランプ法を適用して、以下の知見を得た。1)キンギョ網膜には巨大な軸索終末部を持つMb1型双極細胞が存在する。膜透過性のCaバッファーを導入し、シナプス後細胞から自発性興奮性シナプス後電位を記録し解析した。その結果、持続性のグルタミン酸放出に関与するリボン無しシナプスからの出力は選択的に抑制されたが、一過性のグルタミン酸放出に関与するリボンシナプスからの出力は抑制されなかった。したがって、Mb1型双極細胞からの出力はリボン無しシナプスとリボンシナプスという並列出力回路によってシナプス後細胞に伝達されていることが示された。2)GABA作動性アマクリン細胞からのMb1型双極細胞軸索終末部への抑制入力について検討した。その結果、反回性シナプスを介する局所抑制と、ギャップ結合により電気的なネットワークを形成している複数のMb1型双極細胞群からの入力によって活性化される側抑制の2種類があることが分かった。それぞれの抑制入力にかかわるGABA受容体のサブタイプ構成が異なっていた。また、側抑制はギャップ結合の阻害剤によって消失したが、ケージドCaによって1個のMb1型双極細胞のみからグルタミン酸を放出させると局所抑制のみ炉活性化され側抑制は活性化されなかった。3)動きの検出に関与する神経回路網に関し、キンギョおよびラット網膜を用いて神経節細胞およびアマクリン細胞のサブタイプを形態学的に分類し、光応答との関連を調べた。現在その詳細を解析中である。
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