2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井奥 洪二 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (60212726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 通 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00211029)
上高原 理暢 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (80362854)
渡邉 則昭 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (60466539)
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Keywords | アパタイト / 再生医療 / 人工骨 / 吸収性材料 |
Research Abstract |
超高齢社会を迎え、病気や事故による骨欠損を修復する技術は非常に重要である。現在、様々な骨修復技術の開発が試みられてはいるものの、いまだに自家骨移植が最適の方法とされる現状が続いており、患者への付加的な侵襲や安全性さらには倫理的な問題点をクリアできる材料を用いた治療法が求められている。本研究では、水熱法を駆使することによって、骨代謝に組み込まれ、吸収されて骨組織を修復する水酸アパタイト人工骨の創製を目的とした。 本年度は、水酸アパタイトの組成や形態を制御した材料合成とその材料科学的特性と生物学的特性の評価を行い、水酸アパタイト人工骨の特性の精密化に関する知見を得た。具体的には、水熱処理条件を選択することによって、アスペクト比の大きい柱状水酸アパタイト粒子からなる多孔体の合成に成功し、この多孔体が脆性破壊しにくいことを明らかにした。セラミックス人工骨が脆性破壊してしまうことは、臨床において非常に大きな問題となっており、この課題を解決できる可能性を示したことは大変意義深い。さらに、出発原料や水熱処理条件を選択することにより、形状とサイズを制御した水酸アパタイト粒子からなる多孔体を合成し、その材料上で骨芽細胞様細胞の培養を行ったところ、サイズにより細胞の増殖挙動が大きく影響されることが分かった。水酸アパタイト人工骨において、構成する粒子の形状とサイズを制御することにより、細胞が行っている骨代謝をも制御できる可能性が示された。さらに、水酸アパタイトに炭酸イオンを含有させて生体吸収性を高める試みとして、出発原料を炭酸カルシウムとして水熱条件を選択することにより、形状を制御した炭酸含有水酸アパタイトの合成にも成功した。 これらの知見は、骨代謝に組み込まれ生体内で天然骨と置換する水酸アパタイト人工骨を設計するにあたり重要な知見となる。
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