2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能解析バイオデバイスとしての生体親和型ポリマーナノ粒子の創製
Project/Area Number |
21300176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | 細胞機能 / ポリマーナノ粒子 / リン脂質ポリマー / 量子ドット / 磁性粒子 / 細胞膜透過ペプチド / オクタアルギニン |
Research Abstract |
新しい細胞機能解析バイオデバイスとしてのポリマーナノ粒子の創製を実現した。すなわち、ポリマーナノ粒子に細胞に全く認識されないリン脂質ポリマー表面を作製し、さらに内部に簡便な分光学的方法で識別可能なプローブ(量子ドット:QD)と回収を容易にする磁性粒子を導入した。この表面に特異的に生理活性バイオ分子を結合することで、その分子の細胞機能に与える効果のみ明確に測定・判別できるポリマーナノ粒子を創製できた。例えば、QDを内包したポリマーナノ粒子では、粒子の存在する位置を蛍光顕微鏡にて観察、特定できる。特に、蛍光の退色が見られないQDでは、連続的な観察が可能であるために、速度論の議論が可能である。表面をリン脂質ポリマーで覆う事により、ポリマーナノ粒子が細胞系に全く捕捉されないステルス性を発現することがわかった。さらにこの表面に細胞膜透過ペプチド(CPP)であるオクタアルギニン(R8)を結合する事で、細胞膜透過が発現する事を見いだした。細胞と接触したポリマーナノ粒子は、30分間から1時間で細胞膜内に取り込まれる事がわかった。CPPの代わりに、他のアミノ酸8量体を結合して、アミノ酸構造の効果を見ると、カチオン性のオクタリシンの場合には、R8と同等の細胞内取り込みが認められるが、他のアミノ酸シークエンスでは、全く取り込まれない事が明らかとなった。この事は、細胞膜取り込みに表面に存在するバイオ分子の構造が重要である事を示唆している。一方、R8とオクタグリシンとの割合を制御して、表面に結合すると、R8が80mol%以上の場合に細胞取り込みが観察された。この事は、物質を細胞内に輸送するための条件として、カチオン性分子の凝集した構造が必要である事を示すものである。
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Research Products
(4 results)