2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋組織へのナノミセル遺伝子導入を用いた重度外傷への新規アプローチ
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21300177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (60292926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 健介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10396947)
緒方 徹 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系傷害研究部, 部長 (00392192)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40282660)
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Keywords | ナノバイオ / 遺伝子 / バイオテクノロジー / ナノ材料 / 外傷治療 / 骨格筋 |
Research Abstract |
初年度である平成21年度は,正常動物モデルに対する筋ターゲットナノミセル型遺伝子キャリアの条件最適化を行った.その結果,以下の成果を得た. 1.ナノミセルによる安全かつ持続的な遺伝子発現の確認 PEG-PLLブロック共重合体とpDNAからなるナノミセルを用いた,筋への経静脈的ハイドロダイナミクス投与により,標的筋における1ヶ月近い持続的な遺伝子発現を確認した.組織傷害は一過性かつ軽度に止まり,in vivo共焦点顕微鏡によりキャリアの効率的な核輸送を観察した. 2.筋の発現タンパク徐放担体としての基礎的評価 上記の系で,VEGFをトラップすることにより血管新生抑制に働く可溶性Flt-1発現pDNAを筋へ投与し,マウス腫瘍モデルに対して投与すると,血中でのFlt-1タンパクの検出,約1ヶ月に渡る腫瘍増殖抑制効果を得た.1.2.の結果はJ.Controlled Release誌にて発表した. 3.生体適合性ナノミセルの応用 PEG-PAspDETブロック共重合体を用いたナノミセルで,筋でのさらに高い遺伝子発現の得られることを確認した.そのメカニズムとして,PAspDETの生分解性による安全性・生体適合性が大きく寄与していることを見出し,PAspDETに対する化学的および細胞生物学的に詳細な解析を加えた.この結果はBiomaterials誌にて発表した. 現在筋萎縮を来す疾患モデル動物として,神経損傷モデル,Tail suspensionモデル,下肢虚血モデルの作成法を確立し,その自然経過の確認など予備検討を開始している.またIGF-1,エリスロポエチンなどの治療用遺伝子発現pDNAを作成し,タンパク発現を確認している.今年度はこれら疾患モデル動物への治療用遺伝子投与を行い,治療効果の評価を本格的に進める.
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Research Products
(10 results)