2010 Fiscal Year Annual Research Report
制がん剤封入型バイオナノ粒子による腫瘍標的治療創薬
Project/Area Number |
21300179
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
妹尾 昌治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90243493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 孝幸 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (00346412)
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Keywords | 制がん剤 / ErbB2 / CD44 / DDSキャリア / 分子標的 / 細胞表面マーカー / DNAマイクロアレイ / 球面自己組織化マップ |
Research Abstract |
本研究では、独自のDDSキャリアと手法で制がん剤候補を封入し、同時に細胞表面分子を標的する効果的な標的治療薬を創製する技術の確立を目的としている。この研究の成果として、ErbB2は細胞により抗体や人工リガンドが結合すると内在化することが明らかになった。内在化しない細胞でも抗体や人工リガンドを2量体以上のデザインにして多価でErbB2を認識させるとその内在化が起こることを見出した。これにより、多価に抗体や人工リガンドを提示したDDSキャリアがErbB2標的に有効であることが示唆された。ErbB2強陽性はトラスツマブによる分子標的が有効とされるが、ErbB2の細胞外ドメインを切断してしまう抵抗性細胞の出現が問題視されている。しかし、本研究の発見でErbB2の内在化により、抵抗性を持つ細胞が有ること示唆している。この場合は、制がん剤を内封するDDSキャリアが最も有望である。そこでリポソームにパクリタキセルを封入し、乳がん細胞の分子標的を試みたところ、パクリタキセルの奏功時間をin vitroで約3分の1に短縮することに成功した。さらに、グリオーマの分子標的のために抗CD44モノクローナル抗体を入手し、本抗体がCD44の内在化を促進するか否かについて検討している。また、蛍光色素を封入したフォスファチジルDセリンリポソームを用いて、in vivoで体内の滞留性を検討した結果、フォスファチジルLセリンよりも優れた滞留性が認められ、食食細胞への取り込みが低くなっていると考えられた。これらの結果を組み合わせて、効果的なドラッグデリバリーシステムの構築が期待できる。標的分子候補の拡大を図るために細胞表面マイクロアレイと臨床標本を用いて乳がんの細胞表面に特有なマーカーをスクリーニングしている。球面自己組織化マップを駆使して特徴的な遺伝子群を見出しているが、標本数がまだ十分ではないので検討を継続していく予定である。このように、今年度は大きな進展があった
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Research Products
(14 results)