2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱傷や消化管穿孔性腹膜炎に対する創傷被覆材としての新規高分子ナノシートの物性制御
Project/Area Number |
21300181
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武岡 真司 Waseda University, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 亘人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00245549)
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Keywords | 医用材料 / バイオマテリアル / 高分子超薄膜 / ナノシート / 交互積層膜 / 創傷被覆材 / 消化管穿孔性腹膜炎 / 熱傷 |
Research Abstract |
熱傷や消化管穿孔性腹膜炎に対する低侵襲で安全性と効果の高い治療を目指し、新しい創傷被覆材として期待されているナノシートの性状を、構造、物性ならびに動物評価試験から決定することが本研究の目的である。膜厚の異なるPLAナノシートやキトサン/アルギン酸ナトリウムの交互積層ナノシートに関して、機械強度試験、引張り試験、密着強度試験による評価を実施し、各ナノシートの素材ごとの膜厚、弾性率、密着強度の相関を整理した。更に生分解性試験、各種物質透過性試験を実施した。弾性率や密着力の測定からは、膜厚を数十nmに制御することでナノシートの特徴である高柔軟性・密着性を発現することを明らかとした。ナノシート上に抗生物質であるテトラサイクリン(TC)を滴下・乾燥させ、さらにポリ酢酸ビニル(PVAc)をスピンコートし、LbL,TC,PVAcの3層構造を有するナノシートを作製した。穿孔性腹膜炎モデルマウスを用い、穿孔部にTC担持ナノシートを貼付し術後7日目までの生存率、白血球数、術後24時間での腹腔内細菌数を計測し、その有効性をin vivo試験から評価した。侵襲度には、術後2日目にほぼ全例死亡する高侵襲モデルを用いた。また、対照群としてPVAc未成膜群、TC未担持群を用いた。TC担持ナノシート群は術後7日目でも全例生存した。次に、術後1日目の腹水を培養したところ、TC担持ナノシートは腹腔内に漏出した細菌繁殖を抑制するだけでなく、最表面に保護膜として存在するPVAcが局所的にTCを安定に徐放することで、細菌繁殖を抑制していることが示唆された。II度熱傷モデルマウスを構築し、熱傷部位に貼付した時の創傷面の治癒速度、水分透過量、血球数変動、血液凝固検査を経時的に計測した。陽性対照としてアクアセル(銀粒子を配合したカルボキシメチルセルロースシート)貼付群、陰性対照群として未貼付群と比較した。
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Research Products
(6 results)