Research Abstract |
超音波探触子を指に組み込んだ腹腔内組立式ハンドの開発に取り組んできた.超音波は一般に臓器を透過し,そのため対向して把持する指まで観察可能であり,その位置姿勢も計測可能であることを見出していた.そこで,これまでに開発した機械式スキャン超音波探触子を搭載したハンドを用いて,その計測精度を評価した.探触・子からの距離が20mmから40mmの範囲で,位置誤差は1mm以内,角度誤差は1.6deg以内という良好な結果を得た.また,同じハンドを用いてIn vivO実験を実施し,腹腔内で組立可能であること,対向して把持する指も観察できることを確認した. 一方,本予算では当初購入不可能と思われていた市販の超音波診断装置が購入可能であることが判明したので,それを購入し電子式スキャンアレイプロープを組立式ハンドに装着できるようにした.市販の模擬臓器を把持し,内部の鮮明な画像が得られること,対向する指も鮮明に観察可能であることを確認した.これにより,臓器を把持・操作しつつ診断するという概念の実現可能性が確認された.ただし,市販のアレイプローブを装着した指は径12mmのトロカールから挿入できない.そこでこの点を考察し,ケーブルの特注と超音波内視鏡用のより小型のアレイプローブを用いれば,挿入可能になることを示した. さらに,音を用いた力センサを開発してきた.空気流を用いて音を発生させ,力が加わると共鳴管の長さが変化し,発音周波数が変化することが原理である.今年度は発音周波数の定常変動を小さくし,分解能を向上させることを目指した.高精度な流量レギュレータの導入,笛部の寸法の最適化,気室の設定により,周波数変動を10Hz以内に収めることができた.変位分解能に換算すると1μm以下にすることができた.小型化にも取り組み,三つの笛からなる直径4mmの円柱形状の笛部を開発することができた.
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