2011 Fiscal Year Annual Research Report
転移癌応答型タンパク質ナノカプセルの構築とMRIによる機能診断への応用
Project/Area Number |
21300190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 正治 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
田畑 栄一 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (00538928)
戸井田 力 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (40611554)
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Keywords | ナノ材料 / MRI / 造影剤 / 癌 / 分子イメージング |
Research Abstract |
画像診断法の発展は疾病の早期発見とその治療効果の改善にめざましい進歩をもたらしている。なかでもMRIは非侵襲・無障害であること、そして軟部組織コントラストが高く、空間分解能に優れていることから臨床医学の現場において重要な位置を占めている。MRI造影剤の利用は病変部位の明瞭な描画のために必要不可欠の手段となりつつある。既に、肝臓、脾臓、そして骨髄といった網内系に特異的な造影剤が臨床において広く使われており、組織選択性という観点では大きな成果を上げている。しかし癌など特定の疾患に対する特異性は低く、未だ開発途上と言わざるを得ない。そこで本研究では、癌部ターゲティングが可能なキャリアとMRI造影剤の複合化を目的とした。 本研究では古細菌が作るsmall heat shock protein (Mj285)に着目した。このタンパク質は自己組織化により24量体となり、直径約12nmの球状構造体を構成する。われわれはこのタンパク質を天然のナノカプセルとして捉え、これを遺伝子工学的に改変することで、二重刺激応答的に崩壊するタンパク質ナノカプセルを構築した。本年度は肝癌への高い親和性が報告されているSP94ペプチド(SFSIIHTPILPL)をナノカプセル表面に呈示することを試みた。カプセルの外殻に遺伝子レベルでSP94を組み込んだものと、合成SP94ペプチドを、PEGリンカーを介して化学修飾した二つを作製したところ、両者とも肝癌細胞株に対して高い特異性を示した。化学修飾の場合、PEGのリンカー長やリンクさせる末端によって特異性に差が生じた。またナノカプセル内部にMRI造影剤Gd-DTPAの内包にも成功しており、肝癌へのMRIイメージングが可能となった。
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Research Products
(2 results)