2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300196
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
中井 敏晴 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 長寿医療工学研究部, 室長 (30344170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 香弥子 国立長寿医療センター(研究所), 長寿医療工学研究部, 研究員 (70399509)
宮腰 誠 国立長寿医療センター(研究所), 長寿医療工学研究部, 研究員 (00508046)
岩木 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 研究グループ長 (70356525)
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Keywords | 画像診断システム / 認知症 / 加齢 / 脳機能イメージング / fMRI |
Research Abstract |
本研究開発では認知症に到る過程や脳障害の回復過程で生じる脳機能ネットワークの応答性の変化を非侵襲的かつ高精度で可視化する脳機能イメージング法である「テンソルfMRI」の基盤技術を開発し、その有用性を検証する臨床前評価を行う。平成21年度に神経回路機能可視化の概念設計と、検証のための高齢者脳機能データベースの構築を行なった。 脳活動テンソル計算方法と記述方法の検討では、神経ユニット間の活動の相関の指標であるFC(functional connectivity)を、従来のような予め特定された小神経回路モデルとして計算するのではなく、開始点のみ特定して終了点を網羅的に計算しその総和を3次のテンソルで表記する方法の妥当性を検討した。これは、神経束の描出に用いられる逐次的処理の方法を前提としているが、今後は、収束条件を最適化した上で、開始点の網羅的する方法を検討する予定である。 検証用加齢脳機能データベースの構築では、運動制御、作業記憶、運動視覚などの基礎認知機能を評定する課題を用いた脳機能イメージングを実施し、のべ110件の脳機能データを集積した。その解析結果の一部から、加齢による脳機能信号の変化は、既存の神経回路に従って生じること、若年者でも潜在的に神経回路全体が動員されていることなどが視覚野および運動野で示唆された。この知見は、我々が提唱している加齢による信号の亢進と低下、あるいは脳領域による応答関数の違いを系統的に説明する仮説(Demand-Reservation Balance Hypothesis)の根拠となるものであり、本研究で開発する認知機能低下の背景となるネットワーク応答の変化の検出技術の神経生理学的基盤となるものである。 以上の研究成果および関連事項は、平成21年度中に英文原著4報、国際脳マップ会議等での国際会議発表6報、国内学会発表11報として発表された。
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