2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボン長下肢装具がポリオ罹患者の歩行効率を改善する要因の研究
Project/Area Number |
21300204
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
蜂須賀 研二 産業医科大学, 医学部, 教授 (00129602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20269070)
和田 太 産業医科大学, 医学部, 講師 (10341512)
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Keywords | ポリオ / ポリオ後症候群 / 歩行障害 / カーボン製長下肢装具 / 両側支柱付長下肢装具 / 歩行効率 / 酸素摂取量 |
Research Abstract |
ポリオ罹患者に対するリハ治療の一環として、カーボン製長下肢装具(カーボン装具)を作製しているが、両側支柱付靴型長下肢装具(従来式装具)に比べ歩行効率が良いが、その理由が重量によるものか、構造特性によるものか、継手等の部品によるものかは異論があり定説はない。本研究の目的は、重量や継手を統一した従来式装具とカーボン装具を装着させ、歩行距離、歩数、酸素摂取量を健常者とポリオ罹患者について測定し、装具の重量等の因子の関与の程度を解明することにある。本年度は、健常者5名及びポリオ罹患者1名に装具を作製して計測を完了した。被験者は安静座位5分、起立位2分の後、3分間、歩きやすい速度で、37mの周回コースを歩行させた。(1)従来式装具、(2)カーボン装具、(3)従来式装具と同一重量に調整したカーボン装具(重量調整カーボン装具)を無作為な順序で装着させ、携帯型酸素摂取量計測装置にて、酸素摂取量及び心拍数を連続的に計測し、歩行距離及び歩数を求めた。健常者では、歩行距離、歩数、歩行速度、ステップ長、及び定常状態での酸素摂取量と心拍数は、カーボン装具が最も大きかったが、歩行1mあたりの酸素消費量はカーボン装具が最も少なかった。また、重量調整カーボン装具での各パラメータは従来式装具に近づく傾向にあった。一方、ポリオ罹患者では、ステップ長は従来式装具が大きかったが、歩行距離、歩数、歩行速度はカーボン装具が最も大きく、一方、定常状態の酸素摂取量はカーボン装具が最も小さくなった。重量調整カーボン装具での歩行1mあたりの酸素消費量は、従来式装具とカーボン装具の中間となった。以上の結果より、カーボン装具による歩行効率の改善には、重量の因子が大きいことが示された。ポリオ罹患者では形状が関与する可能性もあり、今後、被験者数を増やし最終的結論を求める予定である。
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