Research Abstract |
本研究では,動作想像や認知に関連する事象関連電位を抽出し,入力として利用するとともに,被験者がシステム誤動作を認知したことを検知して,補正機構を稼働させるなど,複数の事象関連電位情報を組み合わせて機能するブレイン・コンピュータ・インターフェースを構築することを目的として,認識や運動に関連した脳波の識別に関する研究を進め,以下の研究成果を得た. (1) 運動に関連した脳波変動検出 ディスプレイからの指示に応じて,右手や左手を動かすことを想像するよう被験者に義務づけた実験によって得られた脳波2ch(C3,C4)に対して,混合パルスモデルやICAを用いて識別を行った結果,従来のARモデルに基づく手法と比較して,混合パルスモデルを用いた手法のほうが,識別率の高い被験者は,精度が90%から95%程度へ約5%程度改善できるなど,有効な手法であることを確認した. (2) 機能的意味が異なる信号の分離抽出法の開発 動作想像時の脳波をリアルタイムに識別し,被験者へ,その結果を視覚的にフィードバックできるシステムを用いて,動作想像と誤動作認知を同時に識別することを試みた.その結果,モルフォロジカル多重解像度手法やICA手法を用いて分離した信号から,ある程度,動作想像・誤動作認知を同時に識別できることを確認し,現在,実用的な精度を得るための手法について検討を行っているところである. (3) 光刺激を用いた文字入力システム 3行3列に並べた文字盤インターフェースを備えた文字入力システムを構築し,SS-VEPを用いて,どの文字を注視しているかの識別を試みた結果,後頭部の局所脳波を用いることにより,行(あるいは列)に関しては80%以上の,文字に関しては,約70%の精度で識別可能であることを確認した.また,M系列光刺激に対する応答脳波を解析した結果,応答脳波から光刺激を受けた時間をある程度推定可能であることを確認した.
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