2011 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡予防のためのせん断応力負荷時血流計測装置の開発と解析
Project/Area Number |
21300210
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
米田 隆志 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (90011030)
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Keywords | 褥瘡 / せん断力 / 血流 / 圧迫 |
Research Abstract |
褥瘡の発生にせん断応力がどの程度寄与しているかを定量的に解析するために、生体に対して負荷を加えたときの血流量計測可能な二つの装置の開発及び測定実験を行い、これらの結果からシミュレーションモデルの構築を試みた。 一つめは、昨年度までに開発されたマクロ的な視点から仰臥位での仙骨部圧迫とせん断応力発生が可能で血流計測可能な生体負荷制御装置である。この装置を用いて、人が仰臥位でベッド上に寝た際に垂直方向と水平方向に応力発生させ、血流計測によって生体への負荷を計測した。本年度は、昨年度の研究で問題となっていたレーザードップラーの血流計測データのノイズ対策として、経皮酸素分圧を血流のパラメータとして使用することを試みた。その結果、ノイズは格段に改善され、定量的な計測及び解析が可能となった。この結果をベースに、せん断力と生体負荷に関するシミュレーションモデルの構築を試みた。まだ若干精度が低いものの、モデルのベースはできあがったと考えられる。 二つ目は、ミクロ的な視点からせん断応力と血流の関係を探るために負荷時血流可視化装置の開発を行った。これは、毛細血管にせん断応力を加えた際に変形の大きい生体を自動トラッキングして血流の状況を観察する装置である。昨年度設計された平行リンクを用いた大変形に対応可能な1自由度トラッキング機構の詳細設計と試作を行い、毛細血管血流の状態を可視化することが可能となった。当初予定していた画像トラッキングについては、予想以上に血管の移動がモニタ上で起こっておらず、さらには血管変形が見られないという、予測とは異なる結果も得られた。今後は詳細な解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体負荷に対する血流量をマクロに計測する方法とミクロに計測する二つ実験装置が完成し、それぞれ計測実験を実施した。これらの計測実験結果をベースに、生体負荷に対する血流反応を模擬するシミュレーションモデルの構築とシミュレーション実験にも取りかかっており、ほぼ予定通りに実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるため、これまでに行ってきた実験装置の開発から実験結果の評価・解析をさらに進めるとともに、マクロ、ミクロからの生体負荷に対する血流反応を模擬可能なシミュレーションモデルを構築する。このモデルを用いて、褥瘡発生に関与するであろうせん断力の定量化を行い、褥瘡発生機序の解明及び褥瘡予防機器の開発に役立つデータの提供を行う。
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