2011 Fiscal Year Annual Research Report
小中段階のボール運動のゲームパフォーマンスのスタンダード開発
Project/Area Number |
21300219
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡出 美則 筑波大学, 体育系, 教授 (60169125)
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Keywords | ボール運動 / ゲームパフォーマンス / スタンダード |
Research Abstract |
平成23年度は中学生を対象に実施したベースボール型並びにゴール型については、平成21-22年度のデータの整理を進めるとともに、ゲームの形式に修正を加えた追従授業を実施した。ネット型について、追従授業を実施せず、データを整理した。結果は,次の通りである。 サッカーに関しては、単元を通じてクラス平均の成功率が常に70%以上をキープしていた技能がみられた。また、2年終了時に、7割の生徒が通過した成功率が70%を超える技能もみられた。加えて中学校1-2年生のサッカー単元において、特に、ゴールに近い位置での技能の機会保障及び達成率を向上させるような手続きを加えることが大切であることが示唆された。 バスケットボールに関しても、クラスの平均値が2年間を通して個人の成功率の平均値が70%以上を維持した技能、2年生において個人の成功率の平均値が70%に到達した技能、1年生において個人の成功率の平均値が70%に到達していた技能、2年間を通して個人の成功率の平均値が70%に到達しなかった技能を区別することができた。 ネット型に関しては、平成21-22年度に実施した授業のデータの整理を男女別、パフォーマンス別進めた。その結果、クラスに期待する平均達成率を70%に設定した場合、1年生当初からそれを達成できるゲームパフォーマンス、2年生でようやく達成できるゲームパフォーマンス、2年間を通しても達成できないゲームパフォーマンスの3つのパターンが見いだせた。 ベースボール型に関しては、移動を伴う捕球、最短距離で移動する技能、タイミングよく塁上に入る技能、送球先の意思決定、守備機会に基本位置につく技能、ベースカバーに入る技能、進塁先のベースカバーに入る技能等は、2学年終了時におおむねの生徒に習得させることが期待できる技能であることが示唆された。 いずれにおいても、クラスの70%の生徒が通過できる達成率を実態に合わせて修正する必要性並びに試行数を十分確保する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業に関しては、特にゴール型において天候の影響を受け、予定していた単元時数を展開できない状態が出ている。また、震災、インフルエンザ等の影響もあり、授業時数の確保と同時に継続して授業に参加した生徒のデータ確保が困難なケースが見られるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、期待できるパフォーマンススタンダードを作成するための実態調査を行っている状態である。他方で、仮設定している70%の成功率については、現実に即して修正する必要があることが示唆されてきた。また、達成できない原因を検討していくことで,授業改善に必要な示唆が期待できる。これらについては、今後の検討課題としたい。 他方で、屋外で実施する授業に関しては、天候の影響が大きく、計画していた時間数の確保が困難なケースがみられる。これは、学校教育における授業の質保証という観点からみて問題であり、カリキュラム上の工夫を加えるにしても、今後は、体育の授業の実施条件の整備を進める必要性を示唆するものである。
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