2011 Fiscal Year Annual Research Report
「水をつかむ」コツを探る-水泳における推力発揮メカニズムの多角的解析-
Project/Area Number |
21300226
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松内 一雄 筑波大学, システム情報系, 教授 (70111367)
中島 求 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20272669)
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Keywords | 水泳 / 流体力学 / 流れ場解析 / 最適化 / ロボットアーム / PIV / 準定常理論 |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの最終年度に当たるために、これまでにアームロボットを回流水槽に設置して、スイマーのストロークパターンを再現させた場合の流体力を計測しつつ、PIV手法を用いて手部周りの流れ場の解析を行い、推進力発揮のメカニズムを検討した結果を踏まえて、実際のスイマーが発揮している推進力の推定を行った。さらに最大推進力が発揮された時点での流れ場を解析し、手部より放出された渦と手部との間にジェット流が誘起され、この流れによる運動量の変化が非定常揚力を発生させたと考えられる。 また、これまでは手部においてのみ表面の圧力分布を計測し推進力発揮メカニズムを検討してきたが、本年度は平泳ぎ時の足部の圧力分布を計測し、より大きな推進力を発揮するためのキックパターンの解明に取り組んだ。その結果、平泳ぎに熟練したスイマーは下腿および足部をプロペラのように膝関節を中心に回旋させ、足の裏と表の間に大きな圧力差を生じさせており、これが大きな推進力発揮につながったと考えられる。 これまでの結果を総括すると、熟練したスイマーは、手部および足部の迎角および流入角を巧みにコントロールし、渦を利用して非定常揚力を発生させていることが明らかとなった。特に手部のプル動作においてインスウィープからアウトスウィープへ手部の移動方向が変換する時、これまで手部に対して右回りに生じていた循環渦が、左回りへと回転方向が変わり、渦が放出される。この渦と手部の間にジェット流が誘起されることによって大きな流体力が発生するメカニズムが明らかとなった。 よって今後さらに泳記録を向上させるためには、従来のように水を押すだけでなく、渦をうまく利用できるようになるための水感をさらに養う必要があると思われる。
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