2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動が動脈伸展性を増大させる機序に新しい血管炎症性タンパクPTX3は関与するか?
Project/Area Number |
21300234
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 清司 筑波大学, 体育系, 講師 (30282346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鰺坂 隆一 筑波大学, 体育系, 教授 (70151058)
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
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Keywords | 動脈伸展性 / ペントラキシン3 / 心血管保護作用 / 閉経後中高齢女性 / 運動トレーニング / 大動脈 / 肥満 |
Research Abstract |
大動脈などの中心動脈の伸展性は生活習慣の影響を強く受ける。すなわち、運動不足や過栄養といった生活習慣は、中心動脈伸展性を低下させる。中心動脈伸展性の低下は、心血管疾患の独立した危険因子となる。一方、習慣的な有酸素性運動は中心動脈伸展性を増大させるが、そのメカニズムは未だに不明な点が多く、十分に明らかになっていない。本研究では、運動による中心動脈伸展性増大のメカニズムに、抗炎症作用や心血管保護作用を有するペントラキシン3(PTX3)が関与するか否かを解明することを目的とする。PTX3は、血管内皮細胞から産生され、抗炎症作用や心血管保護作用を有する可能性がある新しい物質として注目されている。今年度は、閉経後の中高齢女性における有酸素性運動トレーニングが中心動脈伸展性と血中PTX3濃度に及ぼす影響を検討した。閉経後の中高齢女性における8週間の有酸素性運動トレーニングにより、動脈伸展性が増大するとともに、血中PTX3濃度が増加した。さらに、より詳細な検討を行うため、肥満糖尿病モデルマウスを用いて、大動脈組織におけるPTX3産生を評価したところ、コントロールマウスに比べて、肥満糖尿病モデルマウスで大動脈のPTX3産生が低下していることが明らかになった。また、血中PTX3濃度も肥満糖尿病モデルマウスで低下しており、血中PTX3濃度と大動脈PTX3産生には相関関係が認められた。これらの結果から、肥満などにより動脈におけるPTX3産生は低下するが、習慣的な有酸素性運動によりPTX3産生は増加することが明らかとなった。すなわち、運動が動脈伸展性を増大させるメカニズムにPTX3産生の増加が関与している可能性があると考えられる。
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