2009 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経系と液性系による統合的な循環調節機構に及ぼす身体トレーニングの影響
Project/Area Number |
21300239
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
斉藤 満 Toyota Technological Institute, 工学部, 教授 (80126862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
家光 素行 環太平洋大学, 体育学部, 講師 (90375460)
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Keywords | 体力 / 心循環調節 / 酸素摂取量 / トレーニング / 自律神経活動 / カテコールアミン |
Research Abstract |
運動時の適切な血圧と血流再配分調節には交感神経系が中心となり、これに加えてカテコールアミン、血管収縮・拡張因子などの液性系因子が重要な役割を果たすと考えられる。本研究では循環の神経、液性調節の研究がそれぞれ個別に行われていたこれまでの欠点を補うため、運動時の交感神経活動と液性循環調節因子を同時に測定することにより運動時循環の調節を明らかにする。加えてトレーニングに伴う適応について明らかにしようとする。 初年度は有酸素トレーニングに対する神経性、液性系循環調節の基礎データとして、有酸素運動時の呼吸循環応答、筋交感神経活動(MSNA)、および液性因子としてのカテコールアミンを測定し、異なる運動強度に対する反応について解析を実施した。運動は最高酸素摂取量の40%(40%VO_<2peak>)および60%強度(60%VO_<2peak>)をそれぞれ15分間、最大運動(100%VO_<2peak>)は疲労困憊に至るまでとした。 結果:1)1分間のバースト発射頻度で定量化したMSNAは、40%VO_<2peak>では安静値との差は認められなかったが、60%VO_<2peak>および100%VO_<2peak>では有意に増加した。2)血中カテコルアミン濃度は、ノルアドレナリン、アドレナリンともに運動強度に比例して増加したが、安静値と40%VO_<2peak>の間に有意差は認められなかった。60%VO_<2peak>および100%VO_<2peak>においてはノルアドレナリン、アドレナリンともに有意な増加を示した。 MSNAは強力な骨格筋血管収縮作用を持つことから運動時の活動筋血管の収縮を促進し血流を低下させることが考えられる。本結果において、高強度運動時のMSNA亢進に呼応して血中アドレナリン濃度が高まったことは、筋血流調節に対するMSNAの負効果を液性系により調整する役割を果たした可能性が考えられる。
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