2011 Fiscal Year Annual Research Report
超早期要因の社会性発達への影響に関する理解と健康教育への還元を深めるための研究
Project/Area Number |
21300242
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 司 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50235256)
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Keywords | 生殖医療 / 出産高齢化 / 父親年齢 / 行動発達 / 情緒発達 / 顕微授精 / 人工授精 / 胚培養 |
Research Abstract |
近年結婚・妊娠年齢の上昇とともに、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などの生殖医療の利用数は年々右肩上がりで増加しており、現在生では新生児の50人に1人は生殖医療による出生である。このように、日本を含む先進国における生殖医療の果たす役割はきわめて大きい。生殖医療の胎児・新生児の成長・発達への影響については、体重への影響など一部の報告を除けば、出生の時点で確認できるような明らかな変化は目立たないと思われることが、これまでの経験からは知られている。ただし、出生後の成長に対する影響については、生殖医療が十分な数での利用されるようになってからまだ十分な時間を経てないこともあり、追跡調査が追い付いていないことも事実である。このような背景から、本研究では特に出生後の行動面の成長に注目して、生殖医療を利用して生まれたお子さんの追跡調査を進めている。具体的には、都内の複数の生殖医療クリニックならびに大学病院の産科の協力を得て、生殖医療で妊娠・出生にいたったお子さんの、2-5歳での行動や情緒面の発達を、親からの質問紙回答を中心に調査を行った。自然妊娠から出生にいたったお子さんを対照にすることとともに、排卵誘発、顕微授精、胚の培養、凍結の有無など、生殖医療の諸条件の影響についても検討し、子どもの情緒・行動発達に優しい生殖医療の発展に貢献することが、本研究の大きな目的である。これらの解析に必要な統計学的県出力を確保するため、昨年度から今年度にかけては、リクルート対象の拡大に努め、現在までに生殖医療の利用で単胎での出産にいたった両親約4000組と、ほぼ同数の自然妊娠での両親に協力を依頼、順次解析を進めている。生殖医療とともに、妊娠時の親の年齢(母親のみでなく父親も重要)についても解析を進めている。昨年度以前のカルテ調査など解析結果の論文は、今年度に投稿・受理されている(Shimada T 他,印刷中)。
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