Research Abstract |
最近,離島の住民において生活習慣病有病率が急激に上昇し,この増加の程度は都市部住民のそれを大きく上回っている.生活習慣病有病率が急激に増加する背景には,離島という地域特性や風土など様々な要因が相乗的に有病率に影響を与えている.本研究は,鹿児島県T島I町を対象とし,事前調査を丹念に行い,その内容を活かした健康づくり介入プログラムの開発,および効果の検証を行った.研究1では,生活習慣病予防に向けた検出および予防行動の促進介入プログラムの開発・実行を行うために,事前調査としてフォーカスグループインタビューを複数実施し,I町住民の背景や特徴を明確にし,対象とすべき下位集団およびプログラムに用いる介入ツールの内容を決定した.その結果,し対象者の背景として,様々な行事や飲酒の機会が多いことなど,健康な食生活を送ることが不十分であることがわかった.加えて,労働と身体活動における違いについて認識が不足していたり,「早世」に対する危機意識が弱いなど過去の「長寿イメージ」で過信している状態にあることがわかった.以上の検討より,同町で対象とすべき下位集団を,「公務員」,「自営業(農業従事者)」,「主婦」の3集団に分け,各セグメントに特化した働きかけを行うことで効果を高めるべくプログラムの開発を行った.研究2では,I町における健康診査の実施率向上を目指し,特定健康診査受診対象者の検出行動を促進させるポスター介入プログラムを開発し,その効果を検証した.1ヵ月にわたるポスター貼付とリーフレット配布,また他の情報提供を行った結果,アウトカム評価として,2008年度度の特定健康診査実施率は,2007年度を大きく上回った.
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