Research Abstract |
平成22年度においては,まず練馬区の専門職から現在の健康増進施策の問題点を明確にした上で,練馬区住民を対象にした通信によるウォーキング・プログラムを実施した.練馬区民の健康増進にあたる保健師,管理栄養士を対象にしてフォーカスグループ・インタビューを実施し,従来の施策の問題点や住民への健康情報について効果的な提供方法を探った.その結果,特に中高年者を対象にしたメタボリックシンドローム予防プログラムについては,対象者が就業中であるために参加が困難であること,また募集にあたってはヘルスコミュニケーションの手法を取り入れる必要性が明確になった. これらの情報を基に,主に中高年者を対象とした通信ウォーキング・プログラムを企画し,募集から評価までを一連の流れの中でスケジュール化した.募集にあたっては,区報にメタボリックシンドローム対策の特集を組み,その後,区報,新聞,保健センターのホームページを活用し,また中高年者が多く集合する場へのポスター貼付など多要素な介入を行った結果,約180名の応募があった.その後,歩数などのセルフモニタリングシートの提出とそれと引き替える形のニューズレターが計4回郵送された.ニューズレターの内容は,行動変容を支援する記事を盛り込み,参加者の動機づけを高める役割を果たした.3カ月間のプログラム終了後,心理社会的変数や血液データの指標に多くの改善が見られた.以上の結果から,ヘルスコミュニケーションにおけるターゲティング介入および行動変容の支援および技法の教授が有効であることがわかった.
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