2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ミトコンドリアタンパク質Apop-1の機能解明と健康科学への応用に関する研究
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21300260
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
福尾 惠介 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40156758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓬田 健太郎 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90283803)
吉田 徹 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 准教授 (00378952)
安田 修 熊本大学, 医学部附属病院・循環器臨床研究先端医療寄附講座, 准教授 (00372615)
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Keywords | ミトコンドリア / インスリン抵抗性 / 遺伝子多型 / 食物繊維 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
1.コンディショナルノックアウトマウスおよび培養細胞での検討 1)膵臓のβ細胞においてApop-1を欠損したマウスを用いたインスリン分泌機能とApop-1の関係の検討:glucose tolerance test (GTT)を実施し、血糖値と血中インスリン濃度の変化を野生型マウスと比較検討した。その結果、血糖値は両群間で有意な差を認めなかったが、血中インスリン濃度において、Apop-1-KOマウス群が野生型に比し、高値を示すことが明らかになった。MIN6細胞(β細胞)を用いた検討においては、高グルコース刺激によってApop-1 mRNA発現量が有意に低下することが明らかになった。これらの結果から、Apop-1が糖代謝の制御機構に関与する可能性が示された。 2)心血管系細胞を用いたApop-1と血管傷害に関する検討:培養内皮細胞(HUVEC)を用いて、高グルコースによるミトコンドリアからのROS産生がエイコサペンタエン酸(EPA)を前処理すると抑制されたが、このEPAの作用は、抗老化因子SIRT1のsiRNAを処置したHUVECでは消失した。また、EPAは、phospho-eNOSの発現量を増加すること、この作用が、SIRT1のsiRNAを処置したHUVECでは消失した。しかし、SIRT1を活性化するレスベラトロールは、Apop-1 mRNAの発現に影響を与えなかった。 2.若い女性におけるヒトApop-1遺伝子多型と生活習慣病リスク因子に関する解析 Apop-1遺伝子多型の解析から、Tアルルを有する群の血中のLPL活性が有意に低値を示したが、今回、食事調査(DHQ)の解析から、若年女性においても、食物繊維の摂取量が多いほどインスリン抵抗性指標であるHOMA-IRや血中中性脂肪の値が低下した。しかし、Tアルルを有する群では、食物繊維によるこのような有用な関係が認められなかったことから、Apop-1遺伝子多型が食習慣とインスリン抵抗性の病態との関係に影響を与える可能性が示された。
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