2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活の安全・安心の実現とリスク管理・リスクコミュケーションについての比較文化研究
Project/Area Number |
21300266
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
奈良 由美子 放送大学, 教養学部, 教授 (80294180)
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Keywords | リスク / 生活者 / リスク管理 / 安全・安心 / リスクコミュニケーション / 日本 / アメリカ / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、生活者の安全・安心に対する意識とリスク管理の実態を把握するとともに、生活者の安全に裏付けられた安心の実感にむすびつくリスク管理とリスクコミュニケーションのありかたを、アンケートによる社会調査データを用いて明らかにすることを主な目的としている。また、生活者個人によるリスク意識や対処のありようは、所属する社会により規定されていることから、比較文化研究を行う。具体的には、アメリカ、中国、日本の3カ国をとりあげ、それらの相違を考察することで、日本の国民性・風土にあったリスク管理を考察するものである。 科学研究費の交付を受ける2年目となる22年度にあっては、以下の課題を遂行した。課題1:20年2-3月に自身が実施したアンケート調査「日常生活の安全に関する意識調査」のデータについて、分析・考察の見直しを行った。課題2:リスクをめぐる国民性、リスクの社会的規定についての理論研究と質的調査を行った。課題3:課題1および課題2によって得られた知見の理論化と分析モデルの精緻化を試みた。このうち課題1については、その成果を学会大会で口頭発表し、また国内外のジャーナル・図書において発表した。課題2については、文献による考察を行うとともに、中国出張による調査を実施した。四川大地震による甚大な被害を受けた四川省綿陽市北川県ならびにブン川県に入り、震災後の生活再建の現状をフィールドワークならびに被災者への聞き取り調査によって把握した。この際、四川省科学協会、四川省農業国際協会、西南民族大学、四川大学繊維学院、四川工芸美術協会、綿陽市羌民族産業推進会、綿陽市労働組合、綿陽市科学協会、北川県政府、労働組合、羌民族刺繍協会などの研究者・担当者らと交流し、生活再建と安全・安心実現の課題とさらなる方向性について検討した。課題3については23年度でも継続して扱い、モデルの精緻化を図る。
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