2010 Fiscal Year Annual Research Report
香辛野菜の調理加工による機能性含硫成分生成と体内プロドラッグ効果の検証
Project/Area Number |
21300272
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00244533)
|
Keywords | 香辛成分 / 含硫成分 / 調理加工 / 生理機能 / 毒性 / 解毒酵素誘導 / ジアリルジスルフィド / ショウガオール |
Research Abstract |
ネギ属やショウガ科野菜の香辛成分(スルフィド類やジンゲロール類)は、高い生理活性を示す一方で、動物種や濃度により毒性を示すことも知られている。本研究では、調理加工に伴い生成する重要な香辛成分に着目し、その生理機能や作用機構、毒性濃度を明らかにすることを目的とした。 煮熟などのマイルドな加熱において増加したニンニク中のジアリルジスルフィド(DADS)が、動物投与実験において臓器中の第二相解毒酵素誘導能を示した。DADSが代謝によって変化して効果を示したと推察し、DADSの細胞代謝物について精密LC-MS分析を実施した。その結果、多数の代謝物が生成していることが明らかとなり、特定の代謝物は同定できなかった。しかし、動物実験における肝臓の有機溶媒抽出物から、呼気中の代謝物として知られる2つの含硫化合物を同定し、化学合成により調製した。この2つの含硫化合物は第二相解毒酵素誘導能を示さなかったが、DADSからの代謝前駆体と考えられるアリシンを合成し試験したところ、細胞レベルで高い第二相解毒酵素誘導能を示した。DADSの1つの代謝経路と代謝物中の生理活性体候補を推察できた。 一方、ショウガの香辛成分であるショウガオールに、低濃度で高い胃がんアポトーシス誘導能を認めた。ショウガオールの分子標的をLC-MS分析で検索したところ、様々なタンパク質との付加化合物が生成していると考えられた。特に、還元型グルタチオンとの付加体生成が多かった。また、ジンゲロールにはこのような付加体生成は認められず、特徴的な細胞内代謝物も精密LC-MS分析では検出されなかった。この結果より、ショウガオールは付加体形成が、ジンゲロールはTRAILのような親和性の高い分子との相互作用が引き金となって生理機能性を示していると推察できた。
|
Research Products
(2 results)