2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者向けの食品開発への応用を目指した食品の力学特性と咀嚼プロセスの体系的関係解明
Project/Area Number |
21300274
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
神山 かおる National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所食品機能研究領域, ユニット長 (00353938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
早川 文代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
熊谷 仁 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20215015)
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Keywords | 食品 / レオロジー / テクスチャー / 介護食品 / 咀嚼 / 嚥下 / ゲル / ゾル |
Research Abstract |
平成21年4月に厚生労働省は、旧「高齢者用食品」に含まれていた「そしゃく困難者用食品」と「そしゃく・えん下困難者用食品」を廃止し、「えん下困難者用食品」の評価方法と物性基準を新たに策定した。新採用された食品テクスチャー評価法は、基本的には古くから行われてきた2バイトテクスチャー解析法で、「硬さ」「付着性」「凝集性」を得るものであるが、10mm/sという速度条件は文献にほとんど見られないほど速い。2バイト法では試験機が連続的に上下運動するために、とくに運動方向が変わる際の速度が測定値に及ぼす影響が懸念された。そこで本法の適用性を、市販の介護食品、増粘多糖類を混合して調製した軟らかいゲル及びゾルに対して、4種の市販装置を用いて調べた。手持ちの試験機では正確に測定できないものもあったため、10mm/sが可能なように装置を改造し、10mm/sと文献で多く報告例の見られる1mm/sを比較した。 力学センサが移動するタイプの装置では、10mm/sで運動の向きが変わる度にノイズを検出し、えん下困難者用食品」の基準を満たすような試料の場合、測定値に及ぼす影響は大きかった。また、等速に達するまでに加速時間がかかる装置、停止する位置が指定値よりも著しく進んでしまう装置、指定位置の近くで減速する装置等、特徴は異なるが、理想的な運動を行える機種は少ないことがわかった。これらの問題は1mm/sであれば、ほとんど無視できる程度に小さいと考えちれた。新厚生労働省の基準は、ヒトの咀嚼速度を考慮して10mm/sが採用されたものと思われるが、用いる機器によって数値が変わる方法で基準値を出すことは問題があると考えられた。 医療用超音波画像解析装置を使用して、市販増粘多糖類からレオロジー特性の異なる試料を調製し、それを健常若年者が嚥下する際の咽頭部での運動速度を解析し、粘度との関係を明らかにした。
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Research Products
(12 results)