2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者向け食品開発への応用を目指した食品の力学特性と咀嚼プロセスの体系的関係解明
Project/Area Number |
21300274
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 上席研究員 (00353938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
早川 文代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
谷米 温子 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (30586326)
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Keywords | テクスチャー / レオロジー / 咀嚼 / 嚥下 / 食品 / 介護食品 / ゲル / ゾル |
Research Abstract |
近年の超高齢社会では、咀嚼・嚥下機能が低下した者のために物性を調整した食品ニーズが増加している。平成21年度に、新しい「えん下困難者用食品」の基準が策定され、2バイトのテクスチャー測定法による、「かたさ」「付着性」「凝集性」の数値が提示された。 そこで、物性の異なる食品の自由な咀嚼挙動を以下の三方法で測定し、上記の機器測定値、テクスチャー官能評価値との対応関係を検討した。 1)閉口筋である左右の咬筋の筋活動は主に「かたさ」およびそれに関係する性質に影響され、咀嚼しやすさを反映すると考えられた。また開口及び舌運動を反映する舌骨上筋群の筋活動は、高齢者向け食品の「付着性」や「凝集性」に関係があった。とくに「付着性」が大きな食品では第一嚥下の後で現れる舌骨上筋群活動が大きく、食塊形成にかかるエフォートの大きさを示していると考えられた。 2)液体の嚥下と固形状食品を咀嚼後に嚥下するときの喉頭部における振動音におけるパターンは異なった。 3)医療用超音波画像診断装置を使用して、ゲル状食品や液体食品を嚥下中の、ヒトの咽頭部における食物の流速を計測した。また嚥下開始時における舌中央部の上下運動を観察し、舌の上昇の平均速度が食品によらず約40mm/sであり、下降の平均速度がそれよりも速くゾル状食品で最大になった。流動特性である嚥下時の特性も「かたさ」による影響が見られた。 ヒトの歯や舌の平均運動速度は約40mm/sであったが、この速度は市販力学装置では正確に設定できなかったため、疲労試験機の利用を試みた。また、「凝集性」については、固体と容器に入れないと流れてしまうような液体では意味が異なり、後者の「凝集性」は、水や低粘度液体で最大値を示すなど、凝集性よりは流動性を示すものと考えられた。
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Research Products
(21 results)