Research Abstract |
1.世界の大学におけるティーチング研修の基礎的研究 ヨーロッパの様々なタイプの大学におけるリサーチ・ティーチングバランスを調査し,これらの大学においてリサーチもティーチングも高い水準に維持されている仕組みを明らかにした。さらに,最近すさまじい速さで教育改革を進めている韓国,台湾,ベトナムなどのアジア諸国の大学を調査した。台湾から講師を招いてFDのノウハウの移植をはかり,モデル授業の実施に必要な組織の調査を行った。 2.アクティブラーニングのモデル授業の開発 Science for all:優れた大学教員を養成することを目的に,新しいスタイルの双方向的な授業,すなわちアクティブラーニングのモデル授業の開発を並行して進めた。本研究では大学初年次の基礎的科学を大学レベルのscience for allと位置づけ,志望する専門分野にかかわらず身に着けるべき基本的な素養と考えた。本年度は昨年度の成果をふまえて,標準テキストの記述とそれに伴うTAの本格的導入をはかった。 3.大学連携および地域連携によるFD これまでの研究計画に含まれた「分野に即したFD」を行うためには,規模の小さい大学では特定分野の教員団のサイズが小さすぎる場合が多く,研修のためのアイディアや人材がすぐに枯渇する可能性がある。分野に即したティーチングの研修は,複数の大学が連携して実施することが可能であり,そのノウハウはむしろ共有されるべきだろう。大学間の連携や地域コンソーシアムがこのために必要となろうが,既存の大学教育センターは,このような連携のためのコアとなることが期待されている。 本研究においては,教育支援サービス拠点のモデルとして,北海道大学高等教育推進機構をとりあげる。今後,日本の大学において,教育支援システムのさらなる整備が必要となるだろう。教育は個々の授業担当者の個人的能力,知識,技術,リーダーシップに大きく依存する。しかし,教育の成否は教育が行われる環境,設備,施設,教材,ティーチングプランなどの質と量にも左右される。今年度は北海道内の大学教育センター等と連携した「北海道FD・SD推進協議会」を通して,教育インフラと教育ノウハウの蓄積をはかり,本研究で構築された総合的な研修モデルの普及を試みた。
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