2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300326
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 了 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00304022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50250486)
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Keywords | 微生物 / 保存材料 / シリカ / 環境保全 |
Research Abstract |
本研究の目的は,シリカを保存材料とし,自然の地盤(土)や岩盤(岩,岩石)の中に生息する微生物の代謝活動を積極的に活用することによって,安価で環境に優しく耐久性に優れた新しい遺構,遺物,石造文化財などの保存材料(強化材料,接着剤,補填材料など)を作製し,作製した保存材料のゲル化・固化のメカニズムを明らかにし,明らかにした保存材料を使用した土および岩石の力学・水理学特性について微視的かつ空間的に検討し,新たに開発した保存材料の有効性について評価を行い,環境保全性に優れた新しい保存材料の提案を行うことである。初年度である平成21年度は以下の3項目について実施し,得られた主な成果の概要は以下に示すとおりである。 (1)シリカの室内ゲル化試験:グルコースなどの有機栄養源を含むコロイダルシリカ(粒子径約20nm)を調製し,イースト菌による代謝活動によってシリカをゲル化させる室内試験を行った。イースト菌の代謝活動に関与する要因としては,有機栄養源,温度,pHに着目し,これらの組合せを変化させた場合に見られるシリカのゲル化の経時変化を調べ,影響要因との間に存在する関係について検討した。 (2)保存材料を使用した供試体の作製:対象とする地盤としては砂質地盤を想定し,豊浦砂の粒子間を保存材料であるシリカでゲル化・固化処理することによって種々の円柱形供試体を作製した。 (3)保存材料を使用した供試体の力学特性の評価:保存材料を使用した種々の供試体を用いて,室内で一軸圧縮試験を実施した。その結果,保存材料により処理された後の供試体において,一軸圧縮強度の増加が約90日後まで継続することが確認された。
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