2011 Fiscal Year Annual Research Report
韓国出土青銅器の成分・金相分析を基幹とした東アジアにおける高錫青銅加工技術の研究
Project/Area Number |
21300328
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長柄 毅一 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60443420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
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Keywords | 蛍光X線分析 / 高錫青銅器 / 熱間鍛造 / 鋳造 / 熱処理 / 焼き入れ / 韓国鍮器 / 金属組織 |
Research Abstract |
韓国の財団法人東亜細亜文化財研究院と締結した「高錫青銅製品分析 共同研究協定」に基づき、韓国出土資料の分析や研究員交流による共同研究を実施してきた。平成23年には東アジア文化財研究院が発行している韓国慶尚南道泗川龍見遺跡発掘調査報告書に寄稿し、出土青銅器の多くがSnを20%以上含む高錫青銅器であり、金属組織の特徴から、それらが熱間鍛造後、焼き入れ熱処理を施されていることを公表した。 また、東アジアにおける広域的な情報収集の観点から、紀元前一千年紀のインド・マフルジャリ遺跡の出土品を分析し、金属組織に焼き入れの根拠が見られる資料を見いだしている。インドは高錫青銅の有力な起源地の候補であり、さらなるデータの蓄積が必要との判断から、デカンカレッジ収蔵の資料について調査を開始したところである。当該年度においては、ハラッパ文化期のKuntasi遺跡の銅器、青銅器(鏡、指輪、腕輪、鑿、ナイフ、釣り針、鏃等)と巨石文化に属する遺跡(Inamgaon遺跡等)から出土した銅製品の写真撮影、実測図作成、観察調査を行っている。 また、日本の資料では、群馬県の綿貫観音山古墳、観音塚古墳、石原稲荷山古墳、鳥羽遺跡、融通寺遺跡、国分寺遺跡等20点近くのデータを蛍光X線による成分分析により取得した。群馬県前橋市の元総社弥勒遺跡と天神遺跡出土の銅鏡については金属組織評価も行い、これらは高錫青銅ではあるが、焼き入れがされていないことが判明している。 このように、高錫青銅の加工技術における技術伝搬を明らかにする上で必要なデータについて、韓国の高錫青銅器を中心に順調にデータ蓄積している。今後は、川上のインドにより研究の中心を置き、川下の日本への技術伝播を明らかにしていくこととする。 」
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Research Products
(6 results)