2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 守 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (50373452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 和之 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 招聘研究員 (70419133)
岩花 剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 特任助教 (70431327)
松岡 憲知 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10209512)
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
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Keywords | 永久凍土 / 活動層 / 大雪山 / 長期観測網 / 水安定同位体 / 湧水 / 融雪水 / モンゴル |
Research Abstract |
本年度の主な成果は、観測の空白地にて永久凍土変動に関する実証値を得たこと、凍土と水循環の相互作用に関する新知見を得たことがあげられる。 永久凍土の分布境界域では永久凍土の衰退が顕著に進行していると考えられているが、それを実証する観測値は極めて少ない。本年度は、ユーラシア永久凍土南限のモンゴルにて、モンゴル科学アカデミー地理学研究所と協働で同国土の永久凍土分布域を網羅するように(計25地点)、地下10mに達する深層地温の観測網を設置するとともに、散逸している過去データの収集を行った.本年度のスナップショット的な永久凍土地温と1980年代での観測値を比較したところ、すべての地点で永久凍土が温暖化していること、温暖化の程度は高緯度の連続的分布域で大きいが低緯度の点在的分布域では変化は小さいこと、一部では永久凍土が消失し、そこでは地温上昇幅が極めて大きいことなどの知見を得た。 山岳永久凍土が存在する北海道大雪山において、陸面水循環過程における凍土・活動層の役割を解明するために、同山域山頂部では初めてとなる総合的な水文観測(降雨、流出、積雪水当量、蒸発散、融解深)や水安定同位体分析を実施した。活動層の保水機能や多量の融雪水供給などによって、同山域では暖候期を通じて地表水が涵養されていることが示された。さらに、永久凍土の氷は現在の降水に比して特異的に低い同位比を有していた。このことは、同山域での永久凍土が現在よりも寒冷な時期に形成されたこと、湧水の安定同位体比モニタリングにより永久凍土衰退の検出が可能であることなどを示唆している。
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