2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 守 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (50373452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 和之 独立法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (70419133)
岩花 剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 特任助教 (70431327)
松岡 憲知 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10209512)
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
|
Keywords | 永久凍土 / 温暖化 / 深層地温観測 / モンゴル / 周氷河プロセス / 広域観測ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、永久凍土の温度や変動の実態を国際的観測網への貢献を通して解明することである。本年度にはこれまでの観測や解析の結果を取りまとめた。モンゴルでは狭い範囲であるにもかかわらず、連続・不連続・点在永久凍土帯が混在している。ここで広範に実施した計46地点での深層地温観測の結果から、凍土温度の地域差は気候帯を一義的としつつも、地域的な地理的条件(地形・地下氷量・植生)にも対応していることが明らかとなった。また、地下氷量が多い寒冷な永久凍土は顕著に温暖化する一方、不凍水が多い温暖永久凍土には温暖化はみられないこと、凍土温度と気温の上昇には有意な相関がないことなどがわかった。これらはグローバルな永久凍土変動の類型化にも繋がる知見である。MODISによる1kmグリッドでの高解像度地表面温度と永久凍土温度の観測値には統計的に有意な対応がみられ、今後の高精度分布モデリングへの展望が開かれた。本研究によって同国の計81地点にて永久凍土の深層地温観測点が展開・ネットワーク化され今後の長期観測の礎となった。これは他国と比しても極めて高密度の観測網であり、国際永久凍土学会(International Pemafrost Association)も重要観測地域として注目するようになった。 全球気候モデル上での土壌の凍結・融解過程の表現が改善された。これに基づき、過去数千年程度での永久凍土分布を議論するような新たな研究の展開がみられた。モデルを検証するのに化石周氷河現象が有効な指標となるが、これと並行して様々な周氷河地形がどのような気候環境下で形成されるのかということの理解を深めなければならない。これに関連して、フロストウェッジやフロストクリープなどの周氷河プロセスおよびそれらの長期変動に関する知見がスイスアルプス、南アルプス、スバルバールなどでの長期観測で蓄積された。
|