2010 Fiscal Year Annual Research Report
加速器質量分析法を用いた極微量放射性核種分析による地球環境動態研究手法の確立
Project/Area Number |
21310004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笹 公和 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20312796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末木 啓介 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90187609)
戸崎 裕貴 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員 (80533215)
別所 光太郎 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 講師 (10300675)
松村 宏 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 准教授 (30328661)
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Keywords | 環境計測 / 動態動態解析 / 加速器質量分析 / 極微量放射性核種 / 同位体分析 / 年代測定 |
Research Abstract |
加速器質量分析法(AMS)は、極微量の長寿命放射性核種を超高感度(同位体比~10-^<15>)で検出できる最先端の分析手法である。本研究では、世界最高レベルの加速電圧性能を有する加速器質量分析装置により、環境試料中の極微量放射性核種を高精度・高感度で分析する手法を開発する。環境動態研究への適用が限られていた重い極微量放射性核種を環境トレーサーとして活用し、新たな環境計測手注を確立することが本研究の目的である。 本年度は、環境動態研究として福島県の阿武隈高地及び原子力施設周辺での極微量放射性核種の環境モニタリング調査を実施した。表層土壌に含まれる^<36>Cl,^<129>I,^<137>Csを測定し、それぞれの核種の分布傾向を比較した。^<35>Cl,^<129>Iはともに土壌表層付近で濃度が最も高くなり、40cm以深になると変化がほとんど見られなかった。^<129>I濃度の最大値が土壌最表層にあるのに対し、^<36>Cl濃度の最大値は最表層よりも深さ10cm付近にあり、放射性のヨウ素と塩素が環境中で異なる分布を示すことが確認された。また、In situ^<36>Clを用いて、山口県秋吉台の露出石灰岩の削剥速度を求めた。その他、^<36>Clを用いて中国広西のカルスト地形に形成された大石天坑の表面露出年代を測定し、20ka程度の年代値を得た。核実験起源^<36>Clを用いた地下水動態研究では、富士山周辺域と千葉県養老川周辺の地下水滞留時間測定を実施した。また、南極ドームふじ氷床コアとグリーンランドNEEM氷床コア中の宇宙線生成核種^<36>Cl測定を実施した。グリーンランドNEEM氷床コア中の^<36>Cl濃度は後氷期(約9.6ka:Holocene)が2.2×10^3atoms/g、氷期(約19.3ka:LGM)が5.1×10^3atoms/gであった。
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