2009 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼生態系保全を目的とした車軸藻類衰退要因の解明と植生復元法の検討
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21310006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山室 真澄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80344208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 信 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10132870)
白岩 善博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)
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Keywords | ソナー / シャジクモ類 / 栄養塩 / 生息深度 / 無性芽 / 生物微弱発光計測 / 農薬 / 光合成活性阻害 |
Research Abstract |
湯ノ湖でROVによるシャジクモ類分布調査を試みたところ、自然保護の観点から動力船を使えない本湖では、ROVの運行は困難なことが判明した。そこで、このような湖沼でも面的にシャジクモ類の分布を把握することを目的に、水中カメラとソナーを使ったシャジクモ類マッピングシステムを開発した。 同じく湯ノ湖を対象にした現地調査で、ヒメフラスコモ(Nitella flexiris)群落が維管束植物の水草群落に代わっていたことが分かった。また季節によって優占種が置き換わることや、同じ種類でも場所によって生息深度が異なり、補償深度以外の要因がシャジクモ類の分布を規定している可能性が示唆された。置き換わりの要因として、カタシャジクモ(Chara globularis)については、8月になると無性芽数が減っていることが分かった。栄養塩濃度が夏の観光シーズンに特に高くなってはいなかったので、6~8月にこの地域は日照時間が減ることが原因である可能性が考えられた。 室内実験では、生物微弱発光計測技術(微弱発光計測システム、浜松ホトニクス)を用いて、シャジクモ属シャジクモ(Chara~braunii)の培養株(NIES1586)および野外水田での採取株の遅延発光パターンを比較し、産地、培養条件の違いがそのパターンに影響することを見出した。さらに、カタシャジクモ、フラスコモ属ヒメフラスコモ、同オトヒメスラスコモ(Nitella hyalina)の比較により、遅延発光パターンが種により異なることを見いだした。さらに、戦後水田で多用された3種の農薬が低濃度で高い光合成活性阻害を示すことを明らかにした。
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