2011 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼生態系保全を目的とした車軸藻類衰退要因の解明と植生復元法の検討
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21310006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山室 真澄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80344208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 信 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10132870)
白岩 善博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)
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Keywords | 種子分析 / シャジクモ類 / 栄養塩 / 生息深度 / 無性芽 / 生物微弱発光計測 / 農薬 / 光合成活性阻害 |
Research Abstract |
シャジクモ類は沈水植物の中でも特に水質浄化作用が大きいことが知られているが、日本ではその衰退が著しく、環境省レッドデータブックでは絶滅危惧種(第一種)に指定されており、推定原因の解明が急務である。今年度は衰退原因に関するフィールド調査1項目、実験室実験2項目を行った。 沈水植物が再生した湖沼の堆積物を採取して種子分析を行った結果、1950年代半ばに衰退したのは現在再生している維管束植物ではなく、シャジクモ類3種であったことが明らかになった。このことから、シャジクモ類は維管束植物の沈水植物より、人為的影響に脆弱であることが示唆された。 湖沼の浅所に生育するChara globularisと深所に生育するNitella flexilisの2種のシャジクモ類を用いて、富栄養化の要因となるリンと窒素と水中の光強度の減少がこれら2種のシャジクモ類の光合成活性と隼育に与える影響を、光強度と栄養塩濃度を変化させた実験室実験で検討した。その結果、リンや窒素の増加はカタシャジクモの衰退の要因とは考えられず、透明度の低下が主要因となっていると考えられた。 除草剤アトラジン(10^<-6>M)がシャジクモに与える短・中期影響を実験室実験で確認した。アトラジンはシャジクモの伸長促進を促した。光合成電子伝達系に対する影響の解析を行ったところ、光化学系の阻害及び炭酸固定活性の指標の一つであるアルカリバンド形成の阻害効果を引き起こし、その影響は3週間たっても消失することなく維持されたが、植物体が細くなり弱化した。また、光強度を上げた時、光合成阻害効果がさらに高まり、より低濃度でも伸長促進が観察された。以上の結果から、C. brauniiの伸長促進は、光合成電子伝達系阻害剤による光合成阻害効果の二次的影響が矮化と同様の影響を引き起こしたと推測した。
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