2012 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系のミッシング・シンク ‐林床ササ群落の役割の定量的評価‐
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21310009
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大塚 俊之 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90272351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白戸 康人 独立行政法人農業環境技術研究所, 農業環境インベントリーセンター, 上席研究員 (30354062)
廣田 充 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90391151)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 森林生態系 / 林床ササ / 非生物的プール / 生態系純生産量 / 土壌圏炭素 |
Research Abstract |
高山試験地の冷温帯落葉広葉樹二次林(高山TKYサイト)では、林床ササ群落由来の炭素がネクロマスプールの増大に寄与している可能性がある。今年度はササの有無が地上部からの炭素供給量に与える影響について評価した。調査は二カ所の比較実験区(ササあり区:TSY、ササなし区:TSN)で行った。各実験区において、地上部から土壌圏(リター層および鉱質土壌)へ供給される炭素量をリター(リタートラップ法)、林内雨(ボトル採取法)、鉱質土壌への侵出水(フリーテンションライシメーター法)から定量した。また、表層土壌(0-5cm)の溶存有機物吸着能の違いを室内吸着実験から比較した。 TSYおよびTSNにおける地上部リターによる炭素供給量の年間平均値は、樹木およびササの葉のみで比較すると両者の差は比較的小さかった。林内雨の炭素濃度は、TSYおよびTSNにおいて同様の月変動が認められ、また有意では無いものの5月を除いてTSYで常に高い傾向が示された。林内雨の炭素濃度および量から実際にリター層へ沈着してくる炭素量を算出した結果、雨量が多い6月および7月でTSYがより高い傾向を示した。以上の結果は林床ササ群落の存在がリター層への実際の炭素沈着量を継続的に増大させる可能性を示唆した。両サイトでのリター層から鉱質土壌へ供給される侵出水中の溶存有機態炭素濃度および鉱質土壌(0-5cm)の溶存有機態炭素吸着能には有意な差は認められなかった。以上より、地上部から供給される炭素量は全体的に見るとササあり区で比較的多い傾向が示された。また、表層土壌での炭素吸着能はほとんど変わらないことから、ササあり区の表層土壌で炭素がより多い要因の一つとして地上部から供給される炭素量の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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