2009 Fiscal Year Annual Research Report
大気汚染による植物の環境ストレスを活性酸素消去剤を用いて緩和する方法の検討
Project/Area Number |
21310023
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐久川 弘 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80263630)
|
Keywords | 大気汚染 / オゾン / 活性酸素消去剤 / 環境ストレス / 植物 |
Research Abstract |
広島大学総合科学部の圃場内に設置したオープントップチャンバーを用いて、オゾン(100-150ppb)、硫酸溶液(pH=3)、亜硝酸-硝酸溶液(pH=3)、多環芳香族炭化水素(フルオランテン、10μM)を、アカマツ、サンパチャンス、サルヴィア、トマトに暴露する実験をそれぞれ数週間から数ヶ月間実施した。マンニトールなどの活性酸素消去剤(溶液)を噴霧する処理区と噴霧しない処理区で、オゾン、硫酸、亜硝酸-硝酸、フルオランテンの影響が如何に抑制されるかを、光合成活性、可視障害、生長量の測定を通して検証した。活性酸素の一つであるNOラジカルの高感度測定法も今回開発した。これらの実験を通して、植物種による活性酸素消去剤の投与効果を評価し、効率的な投与方法を確立することを試みた。暴露した植物種の生理生態学的特性評価のために、最大光合成速度、葉内CO_2濃度、気孔コンダクタンス、クロロフィル蛍光、葉内栄養元素濃度、可視障害、地上部および地下部の生長量(幹重量)などを測定した。オゾンは日中のみ120ppb暴露した。硫酸、亜硝酸-硝酸、フルオランテンの各溶液は週3回程度数十mL/個体を地上部のみに噴霧器で暴露した。暴露実験終了前後の上記評価項目を測定し、処理区間における測定データの分散分析を行い有意差を検定した。その結果、マンニトールを前処理した植物は、上記の汚染物質の負の影響を有意に抑制したが、植物種によりその効果は大きく変化した。得られた研究成果は、国際学会で発表し、また論文を作成して学術誌に投稿、出版した。
|
Research Products
(3 results)